EUのティエリー・ブルトン域内市場担当執行委員は、中国企業がルーマニアの太陽光発電所建設プロジェクトの入札から撤退したことを受け、欧州委員会が同社に対する調査を取りやめることを明らかにしました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
欧州委員会は今年4月、総額約6億1,000万ユーロ(約1030億円)の契約入札において、中国企業が補助金による不当な利益を得ていないかどうかについて、2件の調査を開始しました。
調査対象となった1つ目の共同事業体は、ルーマニアのENEVOグループのドイツのロンギ・ソーラー・テクノロジーズ社の子会社で構成される共同事業体で、 2つ目は中国の国有企業である上海電気集団有限公司の子会社2社(上海電気英国有限公司と上海電気香港国際工程有限公司)が関与しています。
この調査は、ルーマニアにある110メガワットのソーラーパークに関するもので、EUが一部出資しています。調査は先月、EUが外国補助金規則に基づき開始しました。
ブルトン域内市場担当執行委員によると、欧州委員会は、ロンギー・グリーン・エナジー社と上海電気が入札を辞退したため、調査を打ち切るとのことです。
ブルトン氏は、「我々は、二酸化炭素排出量と光熱費を削減するために、ソーラーパネルの設置に多額の投資を行っているが、これはエネルギー安全保障、産業競争力、欧州の雇用を犠牲にするものであってはならない」と述べました。
2023年7月から施行されているEUの外国補助金規則では、企業は欧州委員会に通知する義務があり、同委員会は補助金によって企業が過度に有利な提案を行えるかどうかを評価しなければなりません。
EUの外国補助金規則が企業補助金に関する調査を開始した後、中国企業がEU加盟国の入札から撤退したのは今回が2度目です。
欧州委員会は3月、中国の鉄道メーカーCSRがブルガリアの鉄道プロジェクトに参加するための入札から撤退した後、中国企業に対する最初の調査を取り下げたと発表しました。
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先月当ブログでもお知らせした通り、EUは中国資本の太陽光パネル企業が中国政府からの補助金を受け入れ、公正な競争を阻害したかどうかについて調査を開始しました。
中国企業が入札から撤退したために、欧州委員会が調査を中止したというのが本記事になります。
鉄道については、欧州委員会は鉄道大手の中国中車に対する補助金調査を今年2月に開始しています。しかし、中国中車グループの子会社のひとつが、ブルガリアにおける電気鉄道プロジェクトの入札から撤退したことを発表した後、3月に入って調査の終了が宣言されました。
また、昨年9月には、中国の電気自動車に対する調査を実施しており、それに応じて懲罰関税を課す可能性があります。
欧米諸国は、中国が国内市場が需要が減少する中、中国が電気自動車、ソーラーパネル、半導体、その他の製品を過剰生産し、さまざまな補助金によって安価な製品を輸出することで世界市場を混乱させていると指摘し、中国製品に関税を課す動きが活発になっています。
これに対して中国は、「欧米の保護主義的な政策の言い訳だ。こうした発言は中国国内の経済成長と国際協力を弱体化させるのが狙いである。」と反論しています。
日本の場合は、山肌の木々を切り倒して裸山にして、ソーラーパネルを敷き詰めたり、貴重な動植物の生息地である湿原をソーラーパネルで埋め尽くそうとしたり、EVについても国産車だけでなく輸入車にも補助金をつけることで、中国の過剰生産能力の解消に貢献しようと頑張っている政治家や官僚がいらっしゃいます。
参考記事
<世界新聞網>中企退出罗马尼亚太阳能园区招标 欧盟放弃调查