ジャネット・イエレン米財務長官は4月6日広州での2日間の会談を終え、中国の何立峰副首相との間で、中国の過剰生産能力に対する米国の懸念を和らげるため、世界経済のバランスの取れた成長といったテーマで引き続き意思疎通を図ることで合意したと発表しました。これに対して中国側は、米国は保護貿易主義の言い訳に、中国の過剰生産能力を持ち出すなと反論しました。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
イエレン財務長官は、何立峰副首相との2日間の会談後の声明で、「国内経済と世界経済のバランスの取れた成長に関する継続的な対話は、中国の過剰生産能力に対する米国の懸念を和らげるためのものだ。この対話は過剰生産能力との関係を含むマクロ経済の不均衡に関する議論を促進するものであり、私はこの機会を利用して、米国の労働者と企業のための公平な競争条件を提唱するつもりである」と述べました。
中国の新華社通信は4月5日に英語の社説を掲載し、イエレン財務長官が過剰生産能力の問題を提起したことは「米国の保護主義的な政策の言い訳を作り出している」とし、こうした発言は「中国国内の経済成長と国際協力を弱体化させるのが狙いであり、米国政府はパニックを広げるのではなく、自国の領土内でイノベーションと競争力を育成することに集中すべきだ」と主張しました。
「結局のところ、世界は今や、米国政府は自国の覇権が問われる分野では、国家安全保障を口実に貿易保護主義の牙を剥くことを躊躇しないことを知っている。」
中国の謝鋒駐米大使も同日、『ニューズウィーク』誌のインタビューで、「いわゆる中国の生産能力過剰が他国を脅かしているというのは『偽りの命題』であり、世界的に見て、高品質の生産能力は過剰ではなく、むしろ深刻な供給不足に陥っている。世界中の国々、特に発展途上国が、高品質の生産能力の開発から恩恵を受けられるかどうかは、人間の良心と能力が試される。」と述べました。
しかし、中国政府の公式発表では、「会談の中で 中国側は米国の対中経済・貿易制限措置に深刻な懸念を表明し、生産能力の問題に全面的に応じ、双方は引き続き意思疎通を維持することで合意した。」と言及するにとどまりました。
イエレン財務長官は、この2日間の何立峰副首相との会談は 『生産的で率直なものだった』と明らかにしています。
イエレン財務長官は、「今回の訪中の最優先課題は、電気自動車、ソーラーパネル、その他のクリーンエネルギー技術の過剰生産能力を抑制するよう、中国政府関係者を説得することだ。」と述べました。
イエレン財務長官はまた5日に広州で米国の企業代表に対して、中国の過剰生産能力が世界経済に与える影響への懸念が高まっているとし、「中国国内市場の需要が減少する中、中国が電気自動車、ソーラーパネル、半導体、その他の製品を過剰生産し、世界市場に氾濫させていることは、中国にとって良いことではなく、他国の生産者を苦しめている。」と語っています。
-ロシア支援への警告
イエレン財務長官は何立峰副首相との会談で、金融の安定や持続可能な金融などの話題にも触れ、双方は金融システムにおけるマネーロンダリング防止について協力するフォーラムを立ち上げることで合意しました。
イエレン財務長官はまた、協議の中で米国側も中国側に対し、ロシアが中国からの製品供給によって利益を得ていることを明らかにしたと明かしました。
米財務省の回覧文書によると、イエレン財務長官は何立峰副首相に対し、中国企業を含む国内企業は、ロシアの軍事産業基地への支援を含め、ロシアのウクライナ戦争への物質的支援を行ってはならず、『そのようなことが発覚した場合は深刻な結果を招くことになる』と強調したとのことです。
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中国の過剰生産能力の問題は、鉄鋼やアルミニウムが顕著で、世界の鉄鋼生産の47％、世界のアルミニウム総生産量の約58％を占める中国が景気低迷に陥ったために内需が減速し、その反動で輸出が増加して国際価格が下落し、国際市場が健全性を失う可能性を指摘されています。
<中国の過剰生産能力がもたらす鉄鋼とアルミニウムのグリーン化への影響>
また、中国国内で乱立する電気自動車(EV)メーカーが、国内景気の低迷による内需不足の結果、国内で余ったEVに補助金をつけて輸出することも懸念されています。
中国製電気自動車(EV)は今年、欧州市場の25％を占める見通し - 黄大仙の blog
参考記事
<徳国之声>美财长耶伦:产能过剩害全球 中国:别找借口
