黄大仙の blog

何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛なOJISANブログです。

中国がレアアース管理条例を公布、一元管理による独占維持を目指す

中国政府は、レアアースに関する規制の第一弾を発表し、レアアースは国家に帰属し、いかなる組織や個人もそれを侵害したり破壊したりすることはできず、採掘、製錬、利用、流通、輸出入は産業チェーン全体の監督に含まれると述べました。

  米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。

中国がレアアース管理条例を公布



  新華社通信によると、中国の李強首相は629日に、「レアアース管理条例」に署名しました。同条例は2024101日から施行されます。

 

  レアアースの供給と製造における中国の主導権を確固としたものにするため、新たに公布された規則では、国はレアアース産業の発展に関する統一計画を実施し、採掘とレアアース製錬・分離の総量を規制し、動態管理を最適化すると規定しています。

 

  中国は1990年以来、世界最大のレアアース生産国・埋蔵国であり、近年はハイテク製造業やグリーンエネルギー製品に対するリチウムやグラファイトの重要性から、レアアース地政学的な綱引きのもう一つの戦場となっています。

 

  特に2010年に中国政府が釣魚島問題で日本への輸出制限をエスカレートさせたため、米国、欧州、日本はレアアースの戦略的重要性を直視せざるを得なくなり、これらの国々はその後、独立したレアアースサプライチェーンの構築に尽力してきました。

 

  長年の努力にもかかわらず、欧米間のサプライチェーンはまだ黎明期に過ぎないと言われています。

 

  中国は近年、米欧による半導体規制に対応しつつ、主導的地位を強化するために新たな政策を導入しています。

 

  20238月には、半導体や電気自動車の幅広い用途に使用されるガリウムゲルマニウムの輸出規制を行い、202312月には、レアアース製造技術を「中国の輸出禁止・制限技術目録」に載せ、レアアース磁石の製造技術の輸出を禁止したほか、レアアースの抽出・分離技術の輸出も制限しました。

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++++

  レアアースは電気自動車(EV)や家電製品、ハイテク製品に欠かせない物質です。

 

  レアアースは他の鉱物と同じ鉱床にまとまって存在する傾向があり、重金属や放射性物質など、毒性のある他の物質と一緒になっているため、個々の元素を取り出すための処理を施す過程で、有害物質や放射性物質が地下水に漏れ出てしまうなど、健康や安全に対する懸念が生じる可能性があります。

 

  このため、レアアース鉱石の採掘場所や精錬場所は特定の国に偏在しており、環境規制の緩い中国は採掘の約60%、精錬の約90%を占めており、中国の土壌・水質汚染の一因になっています。

 

  中国国外の精錬工場は4ヶ所にしか無いため、自国でレアアースが採掘できる国も、鉱石を中国に送って精錬しているのが現実であり、これが致命的な地政学的なリスクとなる可能性があります。

 

  日本近海の海底でもレアアースの埋蔵が確認されていますが、中国で精錬してもらったのでは2010年の二の舞になってしまいますから、環境汚染を抑える精錬技術の開発が急がれます。

参考記事

<自由亜州電台>北京颁布稀土管理条例 希透过统一管理维持其垄断地位

https://x.gd/vasAd