米連邦議会の中国共産党問題特設委員会の委員長は10月23日、台湾のチップメーカーTSMCのチップが中国の通信大手ファーウェイの端末に搭載されていたと報じられたことを受け、商務省とTSMCに説明を求めました。
米国国営国際放送の美國之音の記事より。
共和党のジョン・ムールナー下院議員は声明で、「TSMCがファーウェイの人工知能開発に役立つ最先端チップを製造したという報道は、米国の輸出管理政策の破滅的な失敗を意味する。議会は、この災害の範囲と規模について、商務省とTSMCから早急に説明を受ける必要がある。」と述べました。
ファーウェイは国家安全保障上の理由から、2019年に米国の貿易制限リストに掲載されています。
ロイターは、TSMCが顧客に供給していたチップの1つがファーウェイ製品に搭載されていることが判明したため、顧客への供給を停止し、米商務省に通知したと報じました。
ロイターの報道によると、技術調査会社テックインサイツがファーウェイ製品のひとつを分解したところTSMCの半導体を使っているのが見つかり、TSMCが米当局に報告していました。
別の情報筋によると、分解された製品はファーウェイのAscend 910Bチップで、この中国企業の最先端AIチップと考えられています。
このニュースは、企業や規制当局にとって、人気の高い製品を製造する企業への輸出規制を実施することがいかに難しいかを示しており、同時に、ファーウェイが最先端のチップを求め続けていることも示しています。
TSMCは28日の声明で、この件について米商務省に連絡を取ったと述べています。同社は2020年9月中旬以降、ファーウェイにチップを供給していないと主張しています。
「TSMCが(米商務省の)調査の対象となっているかどうかは、現時点ではわからない」と同社は述べました。
事情に詳しい台湾の関係者によると、TSMCはファーウェイの機器から見つかったとされるチップをもともと供給していた顧客への供給を停止しているとのことです。
ファーウェイは声明で、「2020年の米国規制実施以降、TSMCを通じてチップを生産していない。」と述べました。
2019年、ファーウェイはAscend 910チップシリーズをリリースしました。今年初め、2人の情報筋がロイターに語ったところによると、見つかったチップは輸出規制前にTSMCが製造したものだとのことです。
現在米国がTSMCとファーウェイを調査していると報じてられています。
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半導体チップ輸出規制が発効する前に、ファーウェイがチップを大量購入していたというニュースは当時流れていましたので、在庫がまだ残っていたようです。
5年も経つのにまだ在庫が残っているということは、相当な数量を購入していたことになりますが、TSMCの全面的な協力がなければ不可能だったのではないかと想像します。
今回見つかったAscend 910Bは、SMICでの製造は歩留まりの低さが重大問題となっているとのニュースもあります。
参考記事
<美國之音>华为设备被发现含有台积电芯片 美国会议员要求解释