中国は、米国が台湾への武器売却を承認したと発表した翌日、「中米関係を著しく損なう」として米国を非難し、台湾周辺に軍用機と軍艦を配備しました。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
米国務省は10月25日、台湾への19億8800万米ドル(約3000億円)の武器売却計画を承認したと発表しました。その中には史上初の国家最新鋭地対空ミサイル・システム(NASMAS)も含まれており、これはジョー・バイデン政権下では通算17回目となり、かつ最大の規模だということです。
台湾国防部は、この動きは台湾軍が防衛力を向上させ続けるのに役立つと述べ、米国に感謝しました。
米国防安全保障協力局も声明で、「この武器売却案は米国の国家的、経済的、安全保障上の利益にかなうものであり、受領国が軍隊の近代化を継続し、信頼できる防衛力を維持する努力を支援し、受領国の安全保障を強化し、台湾海峡地域の政治的安定、軍事バランス、経済発展の維持に貢献するものである」と述べました。
しかしその後、中国外交部は声明を発表し、アメリカの台湾への武器売却は「中米関係を著しく損ない、台湾海峡の平和と安定を危うくし、『台湾独立』の分離主義勢力に重大な誤ったシグナルを送るものだ」と非難し、同時に、米側に厳粛な申し入れを行い、台湾への武装を直ちに中止するよう求めました。
米国が台湾への武器売却を発表した翌26日、中国人民解放軍は台湾周辺に軍用機と軍艦を配備しました。
台湾国防部は27日、同日朝から「海上で活動する中国共産党の蘇凱-30や空帥-500など、さまざまな種類の主力機や補助戦闘機、無人偵察機の出撃を19回相次いで探知し、うち16回が台湾海峡の中心線とその延長線を超えた」と発表しました。
台湾国防部によると、これらの中国軍機は海上の艦船と協力し、「連合戦闘態勢パトロール」を実施しました。
台湾国防部が発表した声明によると、中国軍の航空機と艦船の動きを注意深く監視し、適切に対応するため、任務用の航空機、艦船、陸上ミサイルシステムを派遣したとのことです。
中国軍が台湾周辺を巡航したのは、10月中旬の大規模演習「聯合利剣-2024B」以来となります。ロイター通信は中国国防部にコメントを求めましたが、回答はありませんでした。
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台湾への武器売却は、高性能の地対空ミサイルシステムやレーダーシステムなど守備的な武装がメインだそうです。
中国軍による台湾を取り囲む軍事演習が常態化しているので、台湾が防衛のために武装を強化するのは当然のことです。軍事侵攻が起きた場合には、米軍が到着するまでの間台湾だけで守備しなくてはならないからです。
中国国内メディアは敏感に反応していて、『中国が台湾を占領した際には、これらの武器は中国軍が接収することになる。米軍にとっては、軍事機密が漏洩する重大な危険に直面することになるぞ』と報じています。
参考記事
<徳国之声>美宣布对台军售隔天 解放军再越台海中线