中国が10月、台湾周辺の海域と空域で軍事演習を行い、最新の攻撃機や軍艦、ミサイルを配備した一方で、訓練で使用された最も脅威的な兵器のひとつは、冷戦初期に導入されたH-6爆撃機の近代化バージョンでした。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
ロイター通信によると、アメリカが冷戦時代のB-52爆撃機のアップグレード版に依存しているのと同様に、中国はジェットエンジンを搭載したH-6爆撃機の近代化に成功し、21世紀までH-6爆撃機を飛ばし続けています。
台湾国防部がロイターに語ったところによると、中国の軍事演習中に3機のH-6爆撃機が台湾の領空に飛来し、うち2機が模擬攻撃訓練を行ったとのことです。
国防アナリストや米国防総省の中国軍に関する報告書によると、中国の最新型H-6爆撃機の一部は核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射することができ、一部は複数の長距離対艦ミサイルや陸上攻撃ミサイルを搭載することができます。
空中給油が可能なものもあり、中国国内の基地から離陸し、グアムなどアメリカが西太平洋に持つ大規模な基地を深く攻撃することができます。
1962年にB-52の生産を停止したアメリカとは異なり、中国は双発のH-6爆撃機の製造を続けています。
しかし、元アメリカ海軍潜水艦将校で中国の軍事専門家であるトーマス・シューガートによれば、H-6爆撃機の生産は最近減速もしくは停止している可能性があり、中国空軍は現在約230機のH-6爆撃機型戦闘機を保有していると推定しています。
台湾国防部と日本の防衛省は、H-6爆撃機が近年頻繁に領空付近を飛行していると報告しています。
H-6爆撃機はまた、中国が広大な領有権を主張する南シナ海にも派遣されています。
米国と台湾の軍事専門家によれば、紛争が勃発した場合、H-6爆撃機は船舶や陸上目標に深刻な脅威をもたらします。
台湾侵攻のような中国の上陸作戦の軍事ガイドラインでは、司令部、通信施設、兵站センター、その他の重要目標への攻撃や、空港、港湾、海上の船舶への攻撃が要求されており、「私は、H-6爆撃機がこの種の作戦すべてに関与することを期待している」とシューガート氏は述べました。
シューガート氏は、「これらの攻撃は、おそらく警告なしにミサイル攻撃と連携して行われ、島の防空を弱め、滑走路をクレーターにし、航空機を地上に閉じ込めるだろう。」と述べました。
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中国のH-6爆撃機は、ソ連のTu-16を基に開発された長距離戦略爆撃機です。核兵器搭載能力があり、主に対艦・対地攻撃を担います。
中国が台湾に軍事侵攻を行う場合、H-6爆撃機は戦略的かつ多岐にわたる役割を担います。H-6はソ連のTu-16爆撃機を基に開発された長距離戦略爆撃機であり、核弾頭搭載能力を備えつつ、対艦ミサイルや巡航ミサイルなど多様な兵器を搭載できるため、攻撃の柔軟性に優れています。
H-6爆撃機の主な役割の一つは、台湾周辺の海上や地上の戦略拠点への先制攻撃です。特に台湾海峡においては、敵の軍艦や防空設備を目標に長距離からの対艦ミサイル攻撃を行い、台湾軍の反撃力や防衛網を迅速に低下させる役割を担います。また、H-6は台湾本島の重要な軍事施設や指揮センター、通信網などを標的に空爆を行うことで、指揮系統の混乱や防衛システムの弱体化を図ることが可能です。
さらに、H-6は戦闘初期に航空優勢を確保するため、台湾に隣接する離島や滑走路を先制的に破壊する作戦にも利用される可能性があります。台湾側の空軍が発進する前に滑走路や格納庫を無力化することで、航空優勢を確保し、中国軍の地上部隊が台湾に上陸するための支援を行います。
H-6は長距離航行と空中給油の能力を持つため、台湾以外のアメリカやその同盟国の介入に対する抑止力としても機能します。周辺海域での偵察活動を担い、対艦ミサイルを用いて介入勢力を牽制することで、中国軍の侵攻作戦における優位性を維持します。
以上のように、中国のH-6爆撃機は、台湾への軍事侵攻において航空優勢の確保や戦略目標の制圧、抑止力として多層的な役割を果たすことが想定されます。
参考記事
<世界新聞網>中国环台军演轰6战机受瞩 专家示警:扮演侵台要角