黄大仙の blog

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フィリピン国防相、中国の圧力を批判 「フィリピンは侵略の犠牲者」

フィリピンのギルベルト・テオドロ国防大臣は、オーストラリアの首都キャンベラで、リチャード・マールズ国防相と会談しました。テオドロ国防大臣は会談後、中国がフィリピンに対し、南シナ海での主権を放棄するよう圧力を強めていると述べ、フィリピンは中国の攻撃的な行動の犠牲者であると強調しました。

  米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。

オーストラリアの首都キャンベラで、リチャード・マールズ国防相(左)と会談するフィリピンのギルベルト・テオドロ国防大臣(右)

 

  ロイター通信によると、フィリピンとオーストラリアは昨年9月に戦略的パートナーシップに調印し、その後、海軍の共同巡航や合同軍事演習を行っており、今回の会談は20238月以来5回目の会談となりました。

 

  テオドロ国防大臣の非難に対し、中国外交部の林剣報道官は12日の定例記者会見で、中国が正当な権利と利益を守るために対抗措置を取る前に、事件を引き起こしたのはフィリピン側だとし、 「フィリピン側が侵害や挑発をやめれば、海上の状況が再び荒れることはない」と述べました。

 

  ハーグの常設仲裁裁判所2016年、南シナ海における中国の領有権主張は無効であるとの裁定を下したにもかかわらず、中国は領有権主張を守るために南シナ海で行動を起こし続けています。

 

  中国は1110日、スカボロー礁の領海境界線の画定を発表し、スカボロー礁の領有権をさらに強固なものにした、とロイターは報じました。これに対し、フィリピンはオーストラリアやアメリカとの防衛協力を強化し続けており、防衛力を強化するため、武器購入予算に少なくとも330億ドル(51千億円)を追加する予定です。

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  南シナ海は、アジアの主要な海上交通路であり、膨大なエネルギー資源が埋蔵されているとされる重要な地域です。この海域を巡る領有権問題は、中国とフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイなど、周辺諸国との間で長年にわたり続いています。その中で、中国が主張する「九段線」という境界線が大きな争点の一つとなっています。

中国が主張する九段線

  「九段線」は、1940年代に中国が発表した海域の境界線で、南シナ海のほぼ全域を自国領と主張する基礎となっています。この線は、曖昧な位置や範囲の定義にもかかわらず、中国が一方的に設定したものであり、同国はこの領域内の海や資源に対する排他的権利を主張しています。この「九段線」に基づく中国の領有権主張は、東南アジア諸国や国際社会から批判を受けてきました。

 

  2016年には、フィリピンが提訴した南シナ海問題に対する仲裁がハーグの常設仲裁裁判所により行われました。この裁判で、裁判所は「中国が主張する九段線に基づく南シナ海の領有権は、国際法に基づかない」とし、中国の主張を無効とする裁定を下しました。この裁定は、国連海洋法条約UNCLOS)に則り、国家間の領有権紛争を平和的に解決するための国際的なルールを示すものでした。

 

  しかし、中国政府はこの裁定を無効として受け入れず、自国の権利を正当化し続けています。南シナ海の人工島建設や軍事拠点の強化を続け、実効支配を推し進めており、これにより緊張が高まっています。これに対し、米国や日本、オーストラリアなどの国々は「航行の自由作戦」を通じて、南シナ海における自由で開かれた海域の維持を支援し、圧力を強めています。

 

  この南シナ海問題は、単に領有権を巡る争いにとどまらず、アジア太平洋地域の安全保障や経済的安定に関わる重要な課題です。国際法に基づく解決が望まれていますが、実現には多くの障害が残っています。

 

参考記事

<自由亜州電台>菲防长批中国施压:菲律宾是侵略受害者

https://x.gd/D4cDb