中国商務部は12月27日、苦境に立たされている牛肉業界の代表者の要請を受け、輸入牛肉に関する調査を開始したと発表しました。
米国国営国際放送の美國之音の記事より。
中国国内の牛肉価格はここ数年下落傾向にあります。世界第2位の経済大国である中国の成長鈍化に伴う供給過剰と需要不足が原因だとアナリストは分析しています。
その一方で、牛肉の輸入は急増しており、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリアといった国々にとって中国は極めて重要な市場となっています。
商務部は声明の中で、国内協会の調査要請について、近年の牛肉輸入の急増が 国内産業に大きな悪影響を及ぼしていると述べています。
生産者によれば、2023年の牛肉輸入量は2019年より65%増加しているのです。
発表によると、27日に発効した調査は8ヶ月間続きますが、「例外的な状況では適切に延長される可能性がある」とのことです。 調査期間中、通常の取引に影響はないとのことです。
ブラジルは世界最大の牛肉輸出国です。ブラジルは「ブラジル産牛肉の中国への輸出が中国の産業に損害を与えるものではなく、逆に中国の国内生産を補完する重要な要素であることを証明するよう努める」と述べました。
ブラジル外務省は、「原則として予備的措置はとらず、中国が牛肉輸入に課している12%の従価税は引き続き適用される」と指摘しました。
ブラジルの声明によると、主要貿易相手国である中国は2024年、ブラジルから100万トン以上の牛肉を輸入しており、これは2023年より12.7%増加しました。
ブラジルはまた、ブラジルのアグリビジネス部門の保護に尽力し、「常に中国との建設的な対話を求め、相互に有益な解決策を見出す 」と述べました。
++++++++++++++++++++++++++++
中国商務部の輸入牛肉の調査の目的は、海外からの牛肉輸入が急増していることにより、国内の牛肉産業にどのような影響を及ぼしているかを評価することです。
具体的には、輸入牛肉が国内産牛肉の市場シェアを奪うなど、国内産業に「重大な不利な影響」を与えているかどうかを確認するためのものです。
記事にある通り、この調査はセーフガード措置の一環として行われ、8ヶ月以内に終了する予定ですが、必要に応じて延長される可能性もあります。
背景としては、近年、中国国内の牛肉価格が下落していることが挙げられます。この価格下落は、供給過剰と需要の減少によるもので、中国の経済成長が鈍化していることが一因とされています。
また、中国は世界最大の牛肉消費国であり、ブラジルやアルゼンチン、オーストラリアなどの国々から大量の牛肉を輸入しています。これらの国々の中でも特にブラジルは、中国の牛肉輸入量の約半分を占めています。こうした背景から、輸入牛肉が国内市場を圧迫しているとの懸念が高まり、調査に至ったのです。
BRICSも調査対象:
中国がBRICSのメンバーであるブラジルを含む牛肉輸入調査を実施していることは、政治的な観点からも注目すべき事象です。以下に、調査の行方についての予想を述べます。
政治的な背景と影響:
BRICS内の関係性: BRICS諸国は、経済的な協力関係を深めていますが、中国とブラジルの間には、特に貿易面での緊密な関係があります。中国はブラジルの主要な輸出先であり、ブラジルは中国の重要な農産物供給国です。
この関係性を考慮すると、中国は調査の結果でブラジルに厳しい措置を取ることは避けたいかもしれません。ただし、国内産業の保護も重要な政策目標であり、公平な競争環境を保つための措置が必要と判断されれば、貿易摩擦が生じる可能性もあります。
中国がセーフガード措置を導入する場合、WTOのルールに従う必要があります。これにより、調査の結果が保護主義的な政策に直結するかどうかは、国際的な規範や他のWTOメンバーの反応によっても左右されます。ブラジルもWTOのメンバー国として、自身の利益を守るために必要な対抗措置を検討するでしょう。
国内政治の影響: 中国国内では、牛肉価格の安定が消費者の生活に直結するため、政府は国内の支持基盤を維持するために、輸入牛肉に対する制限を設ける可能性があります。しかし、これはブラジルとの関係悪化を招く可能性もあり、外交的なバランスが求められます。
調査の行方の予想:
緩やかな措置:
中国はBRICS内での協力関係を重視し、ブラジルに対する厳しい制裁は避け、緩やかな調整措置(例えば、輸入量の制限や関税の一時的な引き上げ)を採用する可能性が高いです。これにより、国内産業を保護しつつ、ブラジルとの関係も維持しようとするでしょう。
交渉の余地:
調査の結果、ブラジルが必要な調整を求められる場合、両国間で新たな貿易協定や補償措置についての交渉が行われることが予想されます。特に、ブラジルは中国市場へのアクセスを維持したいため、譲歩や協力の余地を見出すでしょう。
長期的な影響:
この調査は、ブラジルが中国市場への依存度を見直すきっかけとなるかもしれません。ブラジルは、他の市場への展開を強化するか、中国に対する多角化戦略を考える可能性があります。
以上の点から、政治的な要素を考慮すると、中国とブラジルの間で最終的な決着は慎重に、かつ双方の利害を考慮した形で行われることが予想されます。ただし、これらの予想は現在の政治情勢や国際関係の動向に大きく影響されます。
|
牛肉はやっぱり和牛だべ。
参考記事
<美國之音>中国启动对进口牛肉的调查