専門家:チベット地震が示唆するダムの危険性
7日にチベットで発生したマグニチュード6.8の地震により、126人が死亡し、4つの貯水池が損壊しました。ロイター通信は10日、専門家の話を引用し、この地震は、アジアの二大国、中国とインドが、地震が起こりやすい「世界の屋根」で水力発電の建設ラッシュを起こす危険性を浮き彫りにしたと伝えました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
ヒマラヤ山脈地域には、高地の湖や河川の落差を利用して発電することを目的とした主要ダムが約68基あります。さらに101のダムが計画・建設中です。
しかし、今回の地震は、この地域のダムが直面する地震リスクについて研究者の間に懸念を抱かせました。
2022年、中国はこの地域のヤルンツァンポ川下流に世界最大の水力発電ダムを建設すると発表しました。
2024年12月、中国政府はこのプロジェクトを承認したが、着工と終了の時期や、新しいダムプロジェクトがどのような影響を及ぼすかについての詳細は明らかにしませんでした。
世界最大の三峡ダムの3倍以上の規模を持つこのプロジェクトは、34ギガワットのクリーンエネルギーを供給するよう設計されており、2030年までに炭素のピークを達成するという中国の目標にとって極めて重要だと言われています。
地震は過去にもこの地域のダムに被害をもたらしており、特に地震が引き金となった地滑りや岩盤崩落が顕著であると、ロイターのレポートは指摘しています。
2018年に発表された調査によると、2015年にネパールを襲った大地震により、同国の水力発電のほぼ5分の1が1年以上停止しました。
チベット、四川、青海、雲南は地震の多い地域で、特にチベット高原地域では2008年にマグニチュード8.0の地震が発生し、7万人近くが死亡しました。
2010年から2022年までに、青海省、四川省、雲南省、甘粛省でマグニチュード6.5から7.1の地震が5回発生し、3,699人が死亡、数万人が負傷しました。
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近年、中国では地震によるダムの被害が頻発しており、その規模と影響は多岐にわたります。いかに、特に注目すべき事例とその影響について詳述します。
事例:
地震発生日: 2021年5月22日
マグニチュード: 7.4
被害の程度:
ダム本体の構造に亀裂が生じ、洪水のリスクが高まった。
地元当局によると、ダムの制御が一時的に困難になり、緊急対応策として水位を下げる措置が取られた。
事例:
地震発生日: 2018年2月6日
マグニチュード: 7.9
被害ダム: 四川省の竜門山ダム
被害の程度:
地震の影響でダムの基礎部分が損傷し、一部では大規模な土砂崩れが発生。
ダムからの水漏れが報告され、地元住民に対する避難指示が出された。
事例:
地震発生日: 2014年8月3日
マグニチュード: 6.5
被害ダム: 雲南省の魯甸ダム
被害の程度:
地震によってダムの堤防が崩壊し、周辺地域に洪水を引き起こした。
人的被害も大きく、多数の住民が避難を余儀なくされた。
総括
これらの地震は、ダムの構造的安全性に対する影響を明らかにし、以下のポイントが指摘されます。
構造的脆弱性: 特に古いダムや設計基準が厳格でないダムは、地震に対する耐性が低い。
緊急対応: 地震発生後の迅速な対応が重要であり、ダム管理者のための訓練やシミュレーションが必要。
地域防災: 地震が起こった際のダムの影響を考慮した地域防災計画の策定。
これらの事例から、地震によるダム被害は地域社会への影響が極めて大きいことがわかります。ダムの安全評価や更新、地震対策の強化が求められています。
中国がチベットに三峡ダムの3倍の規模を持つダムの建設を計画していることは、地震リスクの増大を引き起こす可能性があります。チベット高原は地震活動が活発な地域であり、これまでもダム建設が地震を誘発する一因とされています。具体的には、ダムの巨大量の水が地盤にかかる圧力が地震のトリガーとなるという指摘があります。
2008年の四川大地震では、三峡ダムの貯水が地震を誘発したとの研究も存在します。また、ダム建設は地質構造を変化させるため、新たな断層が形成され、地震の頻度や規模が増す可能性があります。さらに、チベットの地形は急峻であり、地震による地滑りや土砂崩れがダムの安全性を脅かすリスクも高いです。
このようなリスクを考慮すると、ダムが完成した場合、ダム本体の破壊や洪水による下流地域への影響は計り知れません。地震リスク管理は、ダム建設計画において不可欠な要素となるでしょう。
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参考記事
专家:西藏地震提示该地区建水坝风险大
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