2020年のGDP成長率目標を示せず。
暗に失業者激増、社会不安増大を懸念。
中国の景気後退は深刻か。
経済成長より大事な’六稳’、’六保’とは?
中国では22日から日本の国会に当たる全人代が開かれています。
毎年全人代の冒頭でGDP成長率の目標値が発表されるのですが、
今年の全人代では発表されませんでした。
李克強首相は、政府活動報告の中で、
’六稳’、’六保’に集中すると言っています。
アメリカに拠点を置く中国語メディアの多維新聞が解説記事を掲載しました。
[多維新聞]中国为何放弃制定GDP增速目标 美媒分析原因
翻訳版
[多維新聞]中国为何放弃制定GDP增速目标 美媒分析原因
翻訳版に’六稳’、’六保’の意味を載せていますが、
’六稳’とは「6つの安定」を表し、
雇用の安定、
金融の安定、
貿易の安定、
対外投資の安定、
投資の安定、
期待の安定
’六保’とは「6つの保証」を表し、
雇用の保証、
基本的生活の保証、
市場の保証、
食品とエネルギーの保証、
産業サプライチェーンの安定性の保証、
社会末端組織運営の保証
「六保」と聞くと「保六(八)」と混同する人もいるかもしれませんが、
「保六(八)」は経済成長率6(8)%を保つという意味です。紛らわしいですね。
さて、今年の李克強の政府活動報告ですが、
経済成長率を追うのではなく、’六稳’、’六保’に集中すると言っています。
特に雇用の安定が最優先事項と言っており、
雇用の安定が社会の安定に不可欠と考えているようです。
過去のブログでは、中国の失業率が25%以上、失業者は2億人とする自由亜州電台(RFA)の記事も紹介したことがあります。
中国側では新型コロナ流行を抑え、景気は回復しているという記事が大半でした。
ようやく中国も景気回復どころか、失業者が増えて、
社会不安が増大していることを認めたようです。
李克強首相は経済刺激作も発表したようですが、
多維新聞では具体的な事は紹介していませんでした。
中国共産党新聞で李克強の政府活動報告(抜粋)が掲載されていました、
900万人以上の新規雇用を創出
失業率目標6%前後
財政赤字を昨年より1兆元増加、赤字率3.6%以上に設定して積極財政を実施
新型コロナ対策特別国債1兆元発行
などが方針として打ち出されていました。
政府活動報告を受けて、政府や各地方政府が具体策を出すのですが、
エコノミストによると、かなり控えめな対策との評価です。
金融危機(リーマンショック)の時のような積極財政は望めないようですね。
李克強首相が雇用の安定を強調しているのは、
失業者が市中にあふれていることの証拠のようなもの。
新型コロナ後に大都市圏に出てきた農民工が、
仕事が見つからずに農村に帰ったという話を聞くことも多くなりました。
中国の公式メディアでは農民工は農村に帰って”起業”したと伝え、
失業率にも含まれませんが、
彼らには仕事も収入もほとんどなく、紛れもない”失業者”です。
社会不安や動乱の種になりかねないので、
共産党は雇用の創出と社会の安定を強調しています。
うまくいけばいいのですが。。。。。。。。
日本の政財界の人たちは、中国がV字回復すれば日本も景気回復できると期待しているのかもしれませんが、
甘えた期待を抱くのでは無く、
自らの力で回復させていかないと、
失われた30年に続いて令和大恐慌となり、
発展途上国への没落も冗談では無くなりますよ。
「積極財政と内需拡大」
今の日本に必要なのものです。
内需拡大のためには消費税減税が不可欠です。
私の個人的な意見ですけどね。
あなたはどう思いますか?
<参考ニュース>
数千万人が失業 失業者の抗議デモが相次ぐ
[RFA]新型コロナ流行 外出自粛で失業率は25%以上で2億人以上失業
中国語ニュースの翻訳版をこちらで掲載中
日本メディアとは異なる目線のニュースにも触れましょう。
対訳ではありませんが、
間違いの指摘は大感謝いたします。
https://yellowbigwizard.blogspot.com/
李克強作的政府工作報告(摘登)
2020年05月23日08:20 來源:人民網-人民日報
http://cpc.people.com.cn/BIG5/n1/2020/0523/c64094-31720366.html