習近平首席が8月11日に飲食物の浪費の禁止を命じたことは、「残飯禁止令」とか「食べ残し禁止令」などと面白おかしく報じられました。
習近平の節約令は今に始まったわけではないのですが、なぜか今回の浪費禁止令は、各地方政府や業界の過剰反応を招いています。
湖南省では注文前に体重を計るよう推奨し、店の入り口に体重計を置くレストランまで現れました。
今回の習近平の食べ残し禁止令に直ぐに対応したのが、武漢の飲食業協会でした。『N-1』注文方式を提唱し、テーブルで注文する料理の数は、人数より一皿減らしましょうという呼びかけです。つまり四人で食事に行った時には、料理は3皿までの注文にしましょうと言うことです。
これに対抗したのか、遼寧省の飲食料理産業協会はさらに厳しく「N-2」注文方式を提唱しました。人数より2皿減らしましょうと言うことです。この調子で各地方が競ったら、『N-N』を提唱するところが出てきて、レストランに行っても何も注文するなと言われる日が来る、などと言うジョークもネットに流れる始末です。
実際は2~3人の少人数で食事に行く場合には、『N-1』や『N-2』ではなく、「ハーフオーダー、スモールオーダー」のように1皿の盛り付けを少なくして注文しようと呼びかけているレストランが増えてきています。これは多人数で行っても同じですね。
中国では食事に招待されたら出された料理は残すのが礼儀、人を食事に招待したら食べ切れないほどの料理で、もてなすのが礼儀とされています。家族や身内で食事する時でも、テーブルの料理を食べ切ってしまいそうになると、『难看死了(見苦しい)』と言いながら、お腹いっぱいでも追加の料理を注文することもよくあります。
最近では『打包(ダーパオ)』と言って、残った料理を容器に入れて持ち帰る人も増えてきましたが、食べ残す習慣はなくなりません。
その習慣に逆らって習近平の食べ残し禁止令に従うために、各地のレストランが考え出したのが、『N-1』『N-2』なわけですが、湖南省長沙市のあるレストランは、自分の体重を量ってから注文することを奨励するために、レストラン内に体重計を置き、まず顧客に体重を計ってもらい、その体重に見合ったカロリー計算表をもとにした「推奨カロリーメニュー」を提示する方式を始めました。
「ほどほどに注文して無駄を省く」ように誘導するためだそうですが、顧客の反応は「党の政策に合っていて良い」と賛同する意見もあるが、「こちらが金を払って食べるのに、なぜ体重やカロリーのことを店からごちゃごちゃ言われなければならないのか」や、「体重を測ったら食べる気にもならないかもしれない」と非現実的だと批判する声も多いようです。
このレストランはすぐにSNSで、このキャンペーンは顧客が適度に注文するように誘導し、健康的に注文することを目的としているが、体重を測ることは強制ではなく、店側も無料でお客さんに持ち帰り容器を提供していることに言及しているそうです。
女性が人前で体重計に乗るのは抵抗があるでしょうし、男性でも食事前に体重を測ったら、食事しないで帰ってしまう人もいるでしょうね。
習近平首席の食べ残し禁止の大号令で、地方政府や飲食業界は忖度していろいろな対応をしていますが、中国人の習慣に逆行することなので、一般民衆に浸透するのは時間がかかるだろうと思います。
でも、なぜ急に食べ残し禁止が出されてのか、今後予想される食糧危機が深刻だからだと言う噂が出ています。洪水の被害、旱魃の被害、バッタの被害で農業生産が被害を受け、ASF(アフリカ豚熱)によって養豚も大きな被害を受けているので、中国では食糧危機が来ると言われています。
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食べ残し禁止令は食料不足を見越しての対策だろうと思われますが、食べることは最も基本的なことですし、中国人は特に食べることを重要なことと捉える人たちです。食べ残し禁止令でテーブルにたくさんの料理を並べる習慣を否定し、さらに食料不足がきてしまったら、一般庶民の不満が爆発するのではないかと心配するのは、私の考えすぎでしょうか?
参考資料
<今日新聞>習近平禁餐飲浪費!湖南餐廳推「秤重後點餐」遭陸網出征
http*://bit.ly/329ws9d