米国政府が手続きを遅らせていた中国人記者のビザ更新が、11月1日までに承認されました。しかし新しいビザの有効期間は今年の8月4日から11月4日というもの。実質的な有効期間は3日間という処置に中国外交部が怒り心頭のようです。
今年5月に米国政府は、それまで制限がなかった在米中国人の取材ビザの有効期間を90日に制限し、90日ごとに更新の申請を求める措置を始めました。
8月に最初の期限を迎え、約40名の中国人記者たちはビザ更新を申請しましたが、米国政府の承認が遅れていたため、中国外交部は8月4日の定例記者会見で米国政府の態度を非難する声明を出していました。
その後どうなったのかフォローも無く、いつの間にか忘れ去られていましたが、実はずっとビザ更新申請は承認されていなかったのです。
先週になってようやく、一部の中国人記者のビザ延長申請が承認されましたが、その有効期間は今年8月4日から11月4日までであることが通知されたそうです。
つまり実質的なビザの有効期間は1週間にも満たない、人によっては3日間しかなく、しかもすぐに次のビザ更新を申請しなくてはいけません。
米国政府は、ビザ更新申請の手続き処理中は、一部の記者の取材活動を禁止しているため、承認を待っている間は記者たちはジャーナリストとしての仕事ができません。
米国政府の中国メディアへの制限は、記者へのビザだけに限りません。15社の中国メディアの駐米報道機関を「外国使節団」に指定しています。
「外国使節団」とは外国の宣伝機関という意味で、中国メディアは報道機関では無く、中国共産党の宣伝機関であると認定していることを意味します。
米国による中国メディアや記者への弾圧に対して、中国外交部の汪文斌報道官は11月2日の定例記者会見で、中国は「言葉には言葉、行動には行動」の原則に基づき、中国のメディアと記者の正当な権利と利益を守るために必要なあらゆる措置を講じると強調しました。
中国は同等の報復処置を採ると宣言したようなものです。
貿易戦争に続き、ジャーナリズムの世界でも報復合戦が始まるようです。
参考資料
<中国青年網>外交部回应在美记者签证实际延期仅三天:敦促美方停止对中方记者的政治迫害和打压
<自由亜州電台>中国外交部回应美限制中国记者签证