台湾有事に米軍が介入してくることを防止するためのA2/AD(接近阻止·領域拒否)戦略は、中国の軍事力の急速な拡大により、米軍が西太平洋海域における中国軍の優位性を認定するまでになりました。
アメリカに拠点を置き、中華人民共和国の政治ニュースを専門的に扱うメディアの多維新聞の記事から。
A2/AD(Anti-Access/Area Denial 接近阻止·領域拒否)戦略という用語が米国国防総省の公文書で最初に使用されたのは2001年度四カ年防衛評価(Quadrennial Defense Review)です。
A2/ADの基本的な考え方は、中国軍が作戦を開始した際に、その作戦地域に米軍が部隊を送り込んでくる事態を防ぐため、なるべく遠方で米軍の部隊を撃破し、中国軍の作戦地域には進出させないという構想です。
A2/ADの能力は、一連の先進的な中国製兵器から構築されています。
殲-20ステルス戦闘機や轟-6K/J/N爆撃機はA2/ADの一環として、西太平洋における米軍の輸送能力を攻撃するために特別に設計されたのではないかと言われています。
中国が米国とその同盟国の航空戦力を抑制するための最も効果的な方法は、激しく衝突することではなく、米軍基地、給油機、通信設備を標的に攻撃することであり、 殲-20は、中国が空軍の優位性を確立するための手段です。
殲-20は、殲-16や殲-10Cと連携して、空·海·陸の制圧作戦を強力に押し進め、空軍の戦闘能力をさらに高めることができます。
中国の改良型轟-6K/J/N爆撃機は、超音速対艦ミサイル「Hawk-12」や巡航ミサイル「KD-20」、さらには対艦弾道ミサイルなどにより、米空母や水陸両用強襲揚陸艦などの中大型艦や、西太平洋の米軍基地を攻撃することができます。
伝統的な装備に加えて、中国の戦略ドローン技術は米軍からも注目されており、無人戦闘機 攻撃-11、高空高速無人偵察機 無偵-8、無人機「蜂の群れ」攻撃技術など、いずれも西太平洋の米軍に致命的な脅威を与える可能性があると考えられています。
最大速度がマッハ5とされる高空高速無人偵察機 無偵-8は、轟-6Mによって高高度で投下され、敵の厳重な防空網に侵入して情報を入手し、戦闘部隊の偵察や攻撃効果の評価を行うことができます。
A2/AD戦略では、中国のミサイルの脅威は圧倒的なものです。 東風16/17(射程距離1,000km~2,000km)の主なターゲットは、日本と韓国の米軍基地です。
東風21/26(射程距離3,000km~5,000km)は、西太平洋のグアムやインド洋のディエゴ・ガルシアの米軍基地、さらには中・大型艦船も攻撃することができ、核と通常兵器の両方に対応しているのが特徴です。
中国の宇宙での活動は、A2/ADに不可欠な要素となっており、北斗ナビゲーション衛星システム一式、「実践衛星」シリーズ、「遥感衛星」シリーズが、西太平洋での活動に正確なナビゲーションと継続的な広域監視のサポートをしています。
充実する中国のA2/ADに対して米軍は、高い奇襲性と防御能力を持つB-21ステルス爆撃機、長距離対艦ミサイル(LRASM)や統合空地外防衛ミサイル(JASSM)、さらには陸上の中距離弾道ミサイルなど、目標とする攻撃兵器の開発を積極的に進めています。
参考記事
<多維新聞>A2/AD较劲|美军“认证”中国空天优势 北京识破“阴谋”[图]
http*://bit.ly/3owkPnP
今さら聞けない中国軍の接近阻止/領域拒否(A2/AD)
http*://bit.ly/3hwgMGk