中国雲南省昆明市から120km離れた雲南省玉渓市峨山県に、15頭の野生のアジア象が現れて公道を散歩し、民家の軒先にも入り込んで戸をノックしたりしています。
アジア象たちは元々ミャンマーとの国境地域の雲南省西双版纳州(シーサンパンナ・タイ族自治州)に生息していました。
昨年頃から群れの一部が移動を始め、2020年9月にはプーアル市寧洱県に到達しました。
プーアル地域で数ヶ月活動し、その間に子象も出産して群れは15頭になりました。
その後再び移動を始め、2021年1月にプーアル市墨江県、3月にプーアル市寧洱県と北上を続け、4月には玉溪市元江県に入り、監視カメラにもその姿が捉えられるようになりました。
5月24日20時頃、玉溪市峨山県に入り、普段は山や野原を徘徊するだけの群れが、そのまま平坦で広い道路に出て、夜には村人の家の戸を叩いたりしていました。
また大维堵村では、小象が約200斤(約100kg)の酒粕を食べて「酔っ払って」寝込んでしまい、群れから離れてしまったという面白いエピソードもありました。
目を覚ました小象は一頭で移動を始め、途中野山で遊びながら25日の夜にようやく群れに戻ったことが確認されました。
生息地の雲南省西双版纳州(シーサンパンナ)を出発してから、象の群れはずっと北上を続けています。
専門家は象の群れが北上している理由として、地球の気候変動と、自然保護区の野生の象の数の増加を挙げています。
象が自然保護区から出て、農地のトウモロコシを食べている姿は頻繁に目撃されていました。
西双版纳州(シーサンパンナ)から玉溪市峨山県までは400kmですが、そのまま北上すると120kmで昆明市に到達します。
この野生の像はどこまで移動するつもりなのでしょうか。
かつてアフリカで生まれた人類が、小さな群れが移動することを繰り返して、地球上の全ての大陸に広がって行ったように、中国大陸の片隅に住んでいたアジア象が、そのテリトリーを広げる生物史上の偉業を、今我々は目の当たりにしているのかもしれません。
一方で、アジア象はかつてアジアに広く生息しており、3,000年前には黄河の北側にも生息していましたが、寒冷化に伴って南に追いやられてテリトリーの縮小を余儀なくされました。
隋や唐の時代には、浙江省、福建省、広東省、広西チワン族自治区などにも生息していましたが、現代の中国では雲南省南部のシーサンパンナの熱帯雨林にだけ生息するようになってしまいました。
アジア象にとっては地球温暖化は、レコンキスタ(失地回復)の絶好のチャンスなのかもしれません。
近い将来には北京でも野生の象が見られる日が来るかも知れません。
参考記事
<易網>15头亚洲象进村,一小象误食酒糟“醉倒”掉队,现在情况如何?
http*://bit.ly/2RaBhxJ
<百度新聞>持续穿越滇中,亚洲象群仅距云南玉溪市区约17公里
http*://bit.ly/3i60dl1
http*://bit.ly/2R8qsfo
<云南频道>一路“象”北!亚洲象群已进入云南玉溪红塔区
http*://bit.ly/3i8eNZm