世界保健機関(WHO)は13日、新型コロナウイルスの起源を追跡するための新たな委員会を設置すると発表しました。 米国政府はこれを歓迎しました。
米国政府が運営する国際メディアの美國之音の記事より。
WHOは、「新規病原体の起源に関する国際科学諮問委員会」を設置し、新型コロナウイルスCOVID-19の起源に関するさらなる研究の「迅速な展開」を支援すると発表しました。
WHOはすべての国家に対し、新型コロナウイルスの起源追跡に関する研究を加速するために、政治色を除外して協力することを呼びかけました。
WHOの広報担当者は13日の記者会見で、「誰もが、この100年で最悪のパンデミックの起源を知りたがっている。」と述べています。
米国政府は、WHOの計画を歓迎すると表明しました。 バイデン大統領は5月下旬、新型コロナウイルスの起源を特定し、90日以内に報告するよう情報機関に命じており、まもなくその結果が報告される予定です。
新型コロナウイルスの症例は、2019年末に武漢で初めて確認されましたが、どこから、どのようにしてウイルスが広がり始めたのかが不明のため、加盟国間、特に中国と米国との間の緊張が高まっていると、WHOは指摘しています。
WHOを中心としたチームは、中国の科学者チームと共同で、1月から2月にかけて4週間、武漢とその周辺に滞在し、新型コロナウイルス起源の調査を行いました。
最終報告書では、このウイルスはコウモリから別の動物を経由して人間に感染した可能性があるとしており、 ウイルスが実験室から流出した可能性は『極めて低い』としています。
しかし、WHO代表団の責任者であるピーター·ベン·エンバレク氏は、12日に母国デンマークで放送されたドキュメンタリー番組の中で、実験室での仮説はさらなる研究に値すると述べています。
エンバレク氏は番組中で、代表団が武漢を訪問した際に、中国当局から、ウイルスが実験室から流出したという仮説を取り下げるように圧力をかけられたと述べています。
「報告書では、代表団メンバーの主張により、実験室からの流出について言及したものの、「可能性は極めて低い」とし、これ以上の調査は必要ないとした」と、米メディア·ワシントンポストは報じています。
ワシントン·ポスト紙によると、番組中でエンバレク氏は、「中国側にヒューマンエラーがあった可能性があるが、中国の政治システムは常に正しく完璧であることを重視しているため、『誰かが何かを隠したがっている』のかもしれない、誰にもわからないが」と述べました。
エンバレク氏の、まわりくどい、奥歯に物が挟まったような言い回しの発言は、放送ではカットされていたが、番組ウェブサイトには掲載されていたと、ワシントン·ポスト紙は伝えています。
なお、エンバレク氏は、ワシントン·ポスト紙の報道は、デンマーク語から英語に翻訳する時に誤訳があったと指摘し、その後コメントを出していません。
ワシントン·ポスト紙からの問い合わせに対し、WHOは、翻訳が間違っていることと、番組中のエンバレク氏のコメントは数ヶ月前のものであることを伝えてきました。
これは、今回のウイルス起源追跡委員会設置の件と、エンバレク氏のコメントとは無関係であると、WHOは言いたいようです。さらに前回調査の時に、中国から圧力があったことを、有耶無耶にしたい意図が見え隠れしています。
エンバレク氏は現在、メディアのインタビューには答えていないとのことです。
中国の馬朝旭外交部副部長は13日、「新型コロナウイルスの起源追跡調査を拒否することなど、中国の頭の片隅にもない」と述べました。
馬朝旭氏は、「中国は常に世界的な起源追跡を重要視しており、発生初期から起源追跡に関してWHOと積極的に協力してきた」と主張しました。
「中国が反対しているのは、政治的な意図を持った起源追跡、WHO総会決議に違反した起源追跡である」
また馬朝旭氏は、中国とWHOとの共同研究の結論を覆したり歪めたりする試みは、世界中の科学者や科学に対して失礼だとも述べています。
WHOは声明の中で、1月の第1段階の調査では、「実験室からの流出仮説」を否定するだけの十分な証拠が得られず、可能性をさらに調査すべきであると改めて述べています。
「すべてのデータへのアクセスが不可欠であり、WHOは科学と解決策の提供にのみ関心がある。」
新型コロナウイルス起源追跡調査をめぐり、WHOと中国当局とのせめぎ合いは余談を許しません。
まもなくバイデン大統領に報告される予定の、米情報機関の新型コロナウイルス起源調査報告書の内容も注目されます。
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参考記事
<美國之音>世卫组织将成立新的新冠溯源专家小组,美国表示支持
http*://bit.ly/3xRoMqc
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