7月に中国の複数の大学で、LGBT学生団体のWeChatアカウントが停止されたことを受け、上海大学ではキャンパス内のLGBT学生のリストを収集していると噂されています。
ドイツ国営の国際放送事業体の徳国之声が、英国ガーディアン紙の報道を引用した記事より。
英国ガーディアン紙は8月29日の報道で、上海大学が全学部にLGBTの学生をリストアップし、その政治的·心理的指向を調査するよう求める通達を出したと報じました。
この通達では、LGBTの学生の性別や学歴だけでなく、社会的、精神的な健康状態などの思想的、心理的な状態も求めています。
上海大学のものと噂されているこの内部文書は、中国国内外のソーシャルメディアで広く紹介されていますが、同大学は公式には認めていません。
中国人ジャーナリストの江亚玲氏(@yaling_jiang)がツイッターに投稿したスクリーンショットによると、通達には「関連する要求事項に基づき ...... 大学が持っているLGBTの学生に関する情報をフィードバックしてもらいます。」となっています。
この通達では、LGBTの定義を詳しく説明しており、狭義のレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーを指すだけでなく、「広くすべての非異性愛の人々を表している」もLGBTに含むとしています。
正式な公式フォーマットでは無い、この通達は、キャンパスに在籍するLGBT学生の性別、学業、思想、心理状態について、政治的スタンス、日常生活、人間関係、ライフプラン、精神疾患の有無などを詳細に大学当局に報告するよう求めています。
米国の学術月刊誌フォーリン·ポリシーの副編集長であるJames Palmer氏は、「この調査は同性愛者迫害のためのものではなく、むしろ中国のシステムが人々を監視·識別する必要性、特に潜在的な反体制的な可能性のある人々に対する反応だと思います」と述べています。
英国ガーディアン紙によると、この通達はWeiboに投稿された後、何万回もリツイートされましたが、最初に投稿された通達は削除されていました。
削除される前の投稿についたリプライの中には、「カミングアウトするかしないかは私の個人的な判断であり、私が言いたくなければ、義務ではありません ......人間としての基本的な自由を与えてください」と書かれたものがあり、多くの「いいね!」が付いていたとのことです。
英国ガーディアン紙によると、近年まで中国ではLGBTコミュニティが活発化し、成長していました。
しかし、中国の政治的·社会的状況が変化するにつれ、同国のLGBTコミュニティは疎外されています。
また、中国で唯一の性的マイノリティのための年次イベントである「上海プライドフェスティバルShanghai PRIDE」も、2020年の終了後に廃止されることが発表されています。
制度面では、中国のLGBTは取り締まりに直面しており、今年初め、中国人民政治協商会議全国委員会が、思春期の男性の女性化防止に関する提案を行いました。
7月6日には、北京大学や清華大学など、中国の大学や専門学校にある10以上のLGBT団体のWeChatアカウントが予告なしに凍結されました。
中国では1997年までは同性愛は、刑法違反の犯罪行為として、取り締まられていました。
1997年と言うのは、香港が英国から中国に返還された年で、大昔のことではありません。
同年の刑法改定で同性愛行為は非犯罪化されましたが、中国社会に受け入れられたわけではなく、社会は依然「変態」として差別しています。
日本や欧米諸国では、LGBTの権利は広がってきており、同性婚も認められる国や地域も増えていますが、中国ではLGBTが社会的地位を得るのは遠い将来のようです。
中国には7000万人のLGBTがいると言われています。
参考記事
<世界新聞網>上海大学传搜集LGBT学生名单 政治立场也要报告
http*://bit.ly/3yxAOVU
<徳国之声>英媒:上海大学疑搜集校内LGBT学生清单
http*://bit.ly/3ysRyxD