中国ではまもなく全国人民代表大会が始まり、国務院総理など新しい政府トップが正式に発表されます。李克強首相の後任には、中国共産党政治局常務委員の李強氏が就任するとみられています。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
第14期全人代第1回会議が3月5日に北京で開幕しますが、李強が李克強の後任として国務院総理に就任すると見られていますが、李強がどのように経済を活性化させるかについて憶測が飛び交っています。
李強は、中国の習近平国家主席の数十年来の親友と見られており、昨年の第20回全国代表大会で新たに政治局常務委員に選出され、現在は中国共産党の中で習近平に次ぐナンバー2の地位にある人物です。
従来は首相が中国の経済的権力を独占していました。李強が新首相になれば、新たな「習李体制」が形成され、比較的弱いと見られていた前任の李克強と比べて、どれほどの経済的決定権を持つのか注目されます。
しかし、潭江大学両岸関係センターの張呉越所長は、首相は決して意思決定者ではなく実行者に過ぎず、「李強の経済学」などあり得ないと述べています。
李強は63歳、浙江省出身で、習近平が浙江省党委員会書記だった(2002~2007年)時に、李強は浙江省党委員会書記長としてキャリアをスタートさせ、習近平が中国共産党中央委員会総書記となった2013年には李強が浙江省長に就任しました。
2017年10月、李強は第19期中国共産党中央委員会第1回全体会議で中国共産党中央委員会政治局委員に選出され、副州級に昇進して党と国家の指導者となり、 同月、韓正の後任として、中国共産党上海市委員会書記に就任しました。
昨年、上海は約2カ月間ゼロコロナでロックダウンされ、政府の強硬な予防措置は多くの市民を怒らせ、深刻な経済的損失をもたらしました。しかし、同市の李強党委書記の政治キャリアは影響を受けていません。
昨年の中国共産党第20回全国代表大会には、中国第2の高官として人民大会堂に登場し、その地位から、今年3月に李克強の後任として新首相に就任するとの憶測も飛び交うようになりました。
今年1月中旬、中国国家統計局は、速報値として2022年通年の中国のGDPが前年比3%増になるとする報告書を発表しました。この数字は2021年の半分以下(8.4%)で、中国政府が提示した目標値5.5%を大きく下回り、中国経済のパフォーマンスは2020年を除けばここ数十年で最悪となりました。
香港の華福証券のチーフ戦略アナリスト、朱斌氏は、「全国人民代表大会では消費と投資の支援など、内需を刺激する政策を打ち出すと予想される 。また、企業への低利信用供与も可能性がある」と述べました。
3月の全国人民代表大会では、李克強現首相が在任中最後の政府業務報告を行いますが、香港メディアの『香港01』は、この報告内容が対外的に中国経済を見る重要な窓になると報じています。
新首相は全国人民代表大会後に、初めて記者会見に出席し、中国や海外の記者の質問に答える予定となっています。
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3期目の習近平政権は、習近平国家主席のイエスマンで固められていると言われています。李強も習近平の指示通りに忠実に動くことで出世してきた人物と言われており、李強に低迷する中国経済を立て直すのは難しいというのが世間の評価です。
世界の中国離れが加速しそうです。
参考記事
<徳国之声>接棒李克强?李强如何重振中国经济