黄大仙の blog

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ドイツ紙の分析:ゼロコロナが終了 して中国経済は良くなるのか?

中国国家統計局の発表によると、2022年の中国のGDPは前年比3%増にとどまり、当初目標の5.5%増を大きく下回る結果となりました。 経済低迷の最大の原因と考えられていたゼロコロナ政策が放棄された今、中国経済は以前のような高い成長率に戻ることが期待できるのでしょうか。

  ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。

中国経済は良くなるのか?

  2022年の経済成長率は3%で、1977年以来、中国のGDPの年間増加率としては2番目に低くなりました。新型コロナ流行の初期の2020年の成長率が過去最低の2.2%にとどまったことを除けば、中国経済3%以上の成長を果たせなかったのは、文化大革命の最終年(マイナス1.6)にまでさかのぼることになります。

 

  2022年の経済指標が異常に悲惨だったのは、新型コロナの流行とそれに対する厳しいゼロコロナ対策が主な原因であると広く考えられています。

 

  感染力の強いオミクロン変異株に対して、頻発するウイルス感染の発生を食い止めることは難しく、時折、大量の人々が自宅待機を強いられ、消費や生産が抑制され、需要・供給の両面から経済に打撃を与えることになりました。

 

  このことは、四半期ごとのGDPの数値に明確に反映されています。2022年第2四半期(4~6月期)の中国のGDPは前年同期比0.9%増と、他の四半期に比べはるかに少ない成長率でした。 しかも、それは上海が2カ月間閉鎖されたときのことで、中国経済の中心である長江デルタ地域全体がサプライチェーンの崩壊によって影響を受けたのです。

 

  景気はいつから良くなるのでしょうか?

 

  多くのアナリストは、低迷する経済を活性化させるために、中国政府が12月初旬にゼロコロナ政策の全般的な緩和を行ったことを指摘しています。しかし、厳しいゼロコロナ対策がなくなったからといって、すぐに経済が好転するわけではありません。

 

  12月中旬以降、中国各地で発生した集団感染は、集中治療室を満員にし、葬儀社を圧倒しています。

 

  12ヶ月の間に数千万人、いや数億人が一斉に12週間の病気休暇を取ることが集中すると、欠勤率が高騰し、経済は都市閉鎖のときと同じ需給のダブルパンチに見舞われることになります。

 

  世界銀行国際通貨基金IMF)などの機関も、今回の騒動を受けて中国の成長見通しを下方修正しました。

 

  しかし、長年中国経済を研究してきた多くの学者は、この流行の波による経済ショックは長くは続かないと予測しています。

 

  ケルンのドイツ経済研究所の中国専門家ユルゲン・マテスは、今後数週間から数カ月で流行のピークを越えさえすれば、2023年の残りの期間はより良い経済的期待が持てるだろうと見ています。

 

  ドイツのキール大学世界経済研究所のロルフ・ラングハマー教授は、中国は2023年に44.5%の成長を達成すると予測しています。

 

  在中国欧州連合商工会議所会頭のJörg Wuttke氏も、中国経済2022年よりも2023年の方が間違いなく良い状態になると考えています。

 

  2020年の感染拡大第一波が終了した後、中国経済は力強い回復をみせていました。

 

  この年の流行の第一波は、2020年第1四半期に中国のGDPをマイナス6.8%成長させたほどでした。

 

  しかし、遅くとも2020年の第4四半期以降に、中国経済は急速に回復し始めました。

 

  中国はいち早く流行を封じ込めたため、他国が防疫のために工場を閉鎖した際、中国だけがフル稼働し、輸出貿易の急増と過去最高の輸出黒字を記録しました。

 

  中国から輸出するだけの『オールアウト、ノーイン』の状況は、中国市場でのコンテナ不足を招き、中国から欧米への輸送価格は10倍にも跳ね上がりました。

 

  この状況は、オミクロン変異株出現をきっかけに中国各地で都市閉鎖が続く2022年初頭まで続き、世界的な「コンテナ危機」の影響はいまだ克服されていません。

 

  中国は2021年にここ数年見られなかった8%を超える経済成長率を達成し、過去最高の輸出黒字を記録して、世界の工場としての地位を確固たるものにしました。「新型コロナの唯一の勝者は中国だ」と指摘した評論家もいたほどです。

 

  しかし、10年ほど中国で仕事をしてきたラングハマー教授は、これには納得していません。

 

  ラングハマー教授は、「中国政府の中長期目標は、実は内需主導の経済発展であり、それはもう輸出市場に依存しないことを目指している。流行初期に中国がいち早く生産を再開したのは、再び世界の工場になることを意味するが、これは中国政府の望むところではない。」と述べています。

 

  ラングハマー教授は、中国経済が恩恵を受けるのは2020年と2021年の一時的なことであり、この純粋な輸出貿易による恩恵は、中国当局の長期的な経済変革目標とは相容れないと指摘しています。

 

  さらに、輸出貿易を中心とした2020年、2021年の中国経済の回復には、ドル高の進行など多くの偶発的な要因も絡んでいます。

 

  現在の状況は、2020/2021年とは大きく異なり、海外の工場はすでに生産を再開しており、中国の工場だけが生産していた状況を再現することはほぼ不可能であり、2023年の中国経済の回復は著しく困難であると思われます。

 

  そして、「中国経済は短期的な問題と長期的な問題の両方を抱えている」とラングハマー教授は指摘しています。

 

  ラングハマー教授は、「短期的な変動と長期的なトレンドを区別する必要があります。 短期的には、中国経済は世界のインフレと密接な関係があり、後者はそれ自体が疫病と連動しています。 現在の中国の防疫政策は、急激なストップ&ゴーを繰り返していると言え、市場の不確実性を高めることになりました。 そして中長期的には、所得格差や富の分配の不平等といった問題も、中国経済を悩ませています。」と述べています。

 

中国経済は、疫病よりも深刻な問題に直面している 

 

  社会の貧富の差が大きいことに加え、中国経済が直面している内的不利には、人口の少子高齢化と人口ボーナスの消滅、不動産の危機などがあります。

 

  ラングハマー教授の考えでは、中国の経済成長の足を引っ張っているのは、疫病などの外的要因よりも内的問題です。 

 

  また、中国の経済成長を阻む最大の外部要因は、この疫病ではないかもしれません。 都市閉鎖の横行や急激な自由化によって、世界の経済界の中国経済に対する信頼が急速に失われ、その結果、多国籍企業が生産拠点やサプライヤーの中国外への移転を検討し、世界の産業チェーンの中で中国の工場としての重要性が低下することは事実です。

 

  しかし、ケルンのドイツ経済研究所の中国専門家マテス氏は、世界の産業チェーンにおける中国の地位に大きな影響を及ぼすのは、実は地政学的な要因であると考えています。

 

  マテス氏は、「ドイツや米国などの西側諸国が中国への依存度を下げることを検討しているのは、近い将来、中国が台湾を武力で攻撃し、地政学的な対立に発展する可能性が十分にあるという懸念もある」と述べています。

 

  マテス氏によると、ドイツ企業の約半数がアンケートで「中国からの輸入に頼りすぎていると感じており、この依存度を下げることに関心がある」と回答しているそうです。

 

  マテス氏は、地政学的環境の悪化、疫病とその対策の影響、中国経済の内部矛盾などが、不幸にもほぼ同時に噴出し、中国経済の回復に影を落としていると指摘しています。

 

  マテス氏は、「内部構造の問題と地政学的な外部要因、どちらが悪いとは言い切れません。 この2つの要因はほぼ同時に表面化しました。 中国政府が厳格なゼロコロナから完全自由化に急転換したのは、中国経済の足を引っ張っている他の多くのマイナス要因を覆い隠そうとしているのではないか。」と述べています。

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  この記事はドイツ紙の分析を示したもので、異なる意見もあろうかと思いますが、「一昨年2021年に中国経済8%成長したのは、外国がコロナで経済活動がストップしている時に、いち早くコロナから回復した中国に生産が集中したことによる特需で、本当の意味での経済回復ではない。」とする見解は的を射ていると思います。

 

  アップルが生産拠点を中国からインドなどへ移転しようとしていたり、米国による最先端半導体を対中輸出禁止にしたり、国内では不動産バブルの崩壊が始まったりと、中国経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。

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  3期目の習近平政権がどのような経済政策をとり、経済回復を実現していくのか生暖かい目で見つめていきたいと思います。

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  日本のように30年もデフレで成長を辞めてしまったり、経済が上向きかけると増税して台無しにしてしまう愚かなことを、中国がマネ氏なことを期待します。

参考記事

<徳国之声>分析:清零防疫结束了 中国经济会好吗?

https://bit.ly/3XzYZAr