バイデン政権は、米国のクリーンエネルギー産業を保護するため、来年早々に中国製の太陽光発電用ウェハー、ポリシリコン、一部のタングステン製品に関税を課す計画です。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
米通商代表部の発表によると、中国の貿易慣行を見直した結果、2025年1月1日から中国製のソーラーウエハーとポリシリコンに対する関税が50%に、一部のタングステン製品に対する関税が25%に引き上げられます。
キャサリン・タイ米通商代表は声明で、「本日発表された関税引き上げは、中国の有害な政策や行動をさらに弱体化させるものである。」と述べました。
12月12日、米中当局者が今週と来週、年内の貿易問題について会談すると報じられています。
先週、米国政府は中国の先端半導体技術へのアクセス制限を強化しました。報復として北京は、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなど、コンピューター・チップの製造に使われる主要鉱物のいくつかを対米輸出禁止としました。さらに中国は、黒鉛(グラファイト)の対米輸出規制を強化しています。
ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンにおける中国の世界市場シェアは圧倒的で、米国はアフリカやその他の地域で代替ソースを見つけるのに苦労しています。
タングステンも戦略的に重要なキーメタルであり、軍事製造やX線管、電球のフィラメントなどの工業用途に広く使用されています。その生産は中国が独占しており、アメリカはタングステンを生産していないのです。
中国政府がガリウムや他の材料の対米輸出禁止を発表した後、アナリストはタングステンも中国の次の対抗措置の焦点になる可能性があると述べています。
来年のトランプ大統領就任を前に、貿易摩擦はエスカレートしています。トランプ大統領は中国製品に60%の関税を課すと脅しているのです。
一方、現職のバイデン大統領は、外国からの輸入品に広範な関税を課すというトランプの約束は見当違いだと述べています。
それにもかかわらず、バイデン政権はトランプ大統領が1期目に課した関税をすべて維持し、さらに引き上げるケースもありましたが、バイデン政権の関税政策はより的を絞ったものだとも述べています。
バイデン政権が米国の電気自動車、ソーラーパネル、バッテリー産業を支援しているのは、中国がこれらの分野で安価な製品の生産を劇的に増やしているためです。
米国や他の貿易相手国は、中国が輸出品に不当な補助金を出し、ソーラーパネルなどの輸出業者に海外市場で不当な優位性を与えていると非難しています。
米国政府はまた、中国が外国企業に技術移転を求める不当な圧力をかけていると非難しています。
国際エネルギー機関(IEA)によると、中国はソーラーパネルの全生産段階で世界市場の80%以上を占めており、国内需要の2倍以上となっています。
このスケールメリットにより、太陽エネルギーは安価になりましたが、サプライチェーンが中国に高度に集中することにもなりました。IEAは他国に対し、ソーラーパネルのサプライチェーンを評価し、それに応じて起こりうるリスクに対処する戦略を策定するよう促しています。
2018年初め、トランプ政権(当時)は中国から輸入されるソーラーパネルに30%の関税を課しました。中国政府は世界貿易機関(WTO)に対し、新エネルギー車購入補助金の実施における「差別的」慣行を理由に米国を提訴しました。
ソーラーパネルへの関税引き上げに関する米通商代表部の調査は、5月に報告書を発表して終了しました。この調査結果を受け、米国は電気自動車、注射器・注射針、医療用手袋・マスク、半導体、鉄鋼・アルミ製品など多くの製品に関税を課すことになったのです。
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中国製ソーラーパネルの価格はここ数年、供給過剰と価格競争の激化により大幅に下落しています。2023年から2024年にかけて、中国の生産大手は原価を割る価格で販売を余儀なくされる状況にあり、一部の企業は赤字経営に陥っています。この価格下落は、生産能力の拡大や需要の伸び悩みが要因となっています。
日本の対応としては、以下の点が注目されています:
1. 国内市場の保護:日本政府は国内の再生可能エネルギー産業を保護するため、輸入ソーラーパネルに対する規制を強化しています。品質基準の設定や市場監視により、国内メーカーの競争力を高める政策が進められています。
2. 価格競争力の向上:日本企業もコスト削減と効率化を進め、中国製品に対抗するための技術革新を推進しています。特に高効率型パネルの開発や持続可能な製造プロセスの導入に注力しています。
3. 再生可能エネルギー目標の達成:価格競争を利用して安価なソーラーパネルを導入することで、再生可能エネルギーの普及を加速する取り組みも見られます。ただし、これが国内産業に悪影響を及ぼさないよう、慎重なバランスが求められます。
これらの動きは、日本がエネルギー自給率を向上させつつ、持続可能な発展を目指す政策の一環と位置づけられます。一方で、中国市場の不透明な状況が続けば、さらなる価格変動が日本市場にも影響を及ぼす可能性があります。
参考記事
<徳国之声>美国将对中国光伏产品提高关税至50%