黄大仙の blog

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習近平の側近だった秦剛の失脚は、習政権にとって不吉な兆候か

秦剛は「ロケット出世」と形容されるほど速く出世しましたが、在任わずか7カ月で失脚し、中国共産党創設以来最も短命な外交部長となりました。中国外交部のウェブサイトでは秦剛の足跡は一掃され、「外交部長」の項目ですら、秦剛はもはや存在しなかったかのようです。

  フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。

外交部長に就任直後の秦剛・前外交部長

  一部の分析では、秦剛は外交部長を解任されたものの、国務委員としての地位は維持されたままだと推測されています。シカゴ大学の楊大利(ヤン・ダリ)教授は、「秦剛の経歴は比較的単純で、国務委員の地位を維持したことは、特に重要な政治的闘争ではないことを示唆している」と語っています。

 

  しかし、中国の憲法によれば、全国人民代表大会全人代)だけが国務委員を解任できるので、おそらく秦剛の国務委員の地位は風前の灯と言えます?

中国外交部WEB 外交部長のページは『更新中』

  秦剛は外交部儀典局長だった時に習近平出入国に同行し、習近平から個人的に信頼されてスピード昇進し、短期間で駐米大使から外交部長、国務委員へと昇格しました。

 

  王毅中国共産党中央委員会外事活動委員会弁公室主任は、外交部長就任から国務委員になるまでに5年かかりましたが、秦剛はわずか3カ月でした。

 

  秦剛は、習近平中国共産党第二十回全国代表大会(二十大)共産党の規則に反して総書記3期目のスタートを強行した後、自ら中央委員会に入れて抜擢した幹部の一人であり、習近平の監視下での失脚は、習近平の権威を著しく傷つけたと分析されています。

外事日程から秦剛の足跡は削除される

  アジア協会政策研究所のラッセル氏は、「秦剛の失脚は、昇進と同じように予想外であり、不意打ちであった。どちらの動きも中国の指導者から出たものであるため、この事件はトップの採用における恥ずべき失敗とみなされるだろう」と述べています。

 

  しかし、他の中国専門家の見方では、この事件の影響はそれだけにとどまらず、習近平が党内で築き上げ、あるいは押し付けてきた「偉大さ」のイメージが失われ、習近平の意思決定能力に対する深刻な疑問が党内で生じることになります。

 

  時事評論家の張傑氏によれば、秦剛事件は習近平のアキレス腱である判断力の欠如を露呈しました。中国がブレーキのない暴走車のようになってしまった今、指導者の判断力の欠如の果てに何があるのでしょうか?

 

  メディア・パーソナリティのイアン・ジョンソン氏も、「秦剛の奇妙な離脱は中国の指導者である習近平にとってもう一つの公的な後退であり、彼のトップの座が深刻な問題を抱えていることを示唆している」と指摘しています。

 

  イアン・ジョンソン氏は、さらに、「 一連の挫折は、強大な指導者の判断力に疑問を投げかけている。少なくとも100万人の死者を出し不況を招いたゼロコロナ政策の頑固な固執と突然の撤回、ウクライナ侵攻をするプーチンへの公的支援、多くの規範を破った秦剛の登用と罷免という人事判断の誤りである」と述べています。

 

  秦剛の失脚は、習近平強権体制が絶頂期から弱まり始め、黄昏に向かっていることを意味するのでしょうか?

 

  中国専門家の鄧聿文氏は、「秦剛の一件は習近平にとって『絶対的にまずい』ことであり、非常に不透明な体制に対する国際社会の不信感をさらに募らせ、一方で秦剛が急速に姿を消したことで、習近平の新しい体制の中で権力闘争が再び起こり始めており、習近平の政治状況に対するコントロールが損なわれつつあると考えるのが自然だ」と述べています。

 

  鄧聿文氏は、続けて、「習近平の政局掌握は不安定になりそうだ。習近平が最も恐れているのは、誰かが政治的な動機で政治的な噂を流し、党内外に広めること、それが習近平の幹部たちに、習近平の権力が揺らいでいる証拠だと解釈されることだ」と述べています。

 

  鄧聿文氏は、秦剛の事件は始まりに過ぎないと見ており、「習政権のドミノ効果が形づくられた可能性があり、秦剛の失脚はその最初の動きだ」と指摘しています。

 

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  秦剛・前外交部長の突然の失脚は、中国政府からまともな説明が何もないため、いろいろな憶測を生んでいます。

 

  王毅との権力闘争に敗れた説、愛人が2重スパイだった説、などなどさまざまですが、習近平体制の黄昏説も注目に値します。


参考記事

<rfi>亲信秦刚倒了 习政权不详的征兆

https://x.gd/Fvrsc