黄大仙の blog

何にでも首を突っ込みたがる好奇心旺盛なOJISANブログです。

中国ロケット軍の指揮官交代は何を意味するのか?

中国人民解放軍ロケット軍のトップ2人の交代は、中国の軍部と政界を揺るがし、国際世論を惹きつけました。専門家には、習近平が進める中国の軍事力増強計画を減速させる可能性があると指摘するものもあり、より大きな粛清の一環だと推測する分析もあります。

  ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。

ロケット軍のトップ更迭

  中国ロケット軍指導部の人事異動は、爆発的なものであったものの、多くのオブザーバーが予想していたものでもありました。

 

  前ロケット軍司令官の李玉超とその副官は、最近は公の場に姿を見せず、交代のうわさが数週間前からささやかれていました。

 

  李玉超の後任として王厚斌がロケット軍司令官に就任し、徐忠波の後任として徐西盛がロケット軍政治委員に就任したことが発表されました。

 

  情報筋によると、中央軍事委員会の関連部門は、李玉超前ロケット軍司令官、劉光斌副司令官、前任の張振中に対する調査を開始したとのことです。

 

  海外メディアは、彼らが調査され、失脚した理由として、汚職と機密漏洩の2つが考えられると指摘しています。

 

  ワシントンのシンクタンク、スティムソンセンターの中国問題研究者、孫韻氏は、「この再編成の影響はかなり大きい。部隊に対するより大きな調査の第一ステップである可能性も否定できない」と述べました。

 

  孫韻氏は、さらに、「特に、中国が台湾海峡有事の際のアメリカの潜在的な介入能力を抑制するために核兵器を拡大しようとしている今、この人事異動とその根底にある理由は、部隊がこの任務を確実かつ成功裏に遂行する能力があるかどうかに疑問を投げかけている」と述べました。

 

  中国政府が軍トップの交代を隠蔽し、黙秘する慣行も、特に核兵器に関する国際的な情報交換の必要性や、中国とアメリカのハイレベルの軍事交流が現在行われていないことを背景に、指導者交代の透明性の欠如について、一部のアナリストの間に懸念を抱かせています。

 

  シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院のドリュー・トンプソン上級研究員は、「透明性もなく意思疎通もない、このような人事異動は信頼を低下させ、誤算のリスクを増大させ、核戦略の力学に関する中米間の権威ある対話の必要性を浮き彫りにする」と述べました。

 

  ロケット軍は2015年、中国の習近平指導者の個人的な計画のもとに、第二砲兵部隊から改名された、核抑止、核反撃、通常ミサイル精密打撃をその任務とする軍で、中国人民解放軍の三軍(陸・海・空軍)から独立した軍種です。

 

  香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は先週、ロケット部隊のミサイルやサイロ、技術に対する巨額の支出に関連した汚職が、2人の司令官を更迭した最も妥当な理由であるとするアナリストのコメントを紹介しています。

 

  一部の専門家は、指導部の腐敗や不誠実さに関わる疑惑は、中国の通常ミサイルや核ミサイルのアップグレードを遅らせたり、困難にする可能性があると指摘しています。

 

  米国タフツ大学で中国のロケット軍と核兵器の近代化を研究しているデービッド・ローガン助教授は、「軍の近代化を混乱させる可能性があると思う。 大規模な改革を行う際、トップが不安定であることは決して良いことではない。さらに、新しく任命された上級司令官たちは、ミサイル部隊に関する経験がほとんどない。新ロケット軍司令官の王厚斌と政治委員の徐西盛は、それぞれ海軍と空軍の出身だ。」と述べています。

 

  理由はどうであれ、習近平がロケット軍の指導者を交代させたことは、習近平がロケット軍の掌握を強化したがっていることを示唆しています。

 

  「ロケット軍はわが国の戦略的抑止力の中核である」と習近平2015年、ロケット軍の新司令官を称える式典で述べました。

 

  習近平国家主席は、ロケット軍の任務には『信頼できる核抑止力と核反撃能力を強化し、中長距離精密打撃部隊の建設を強化すること』が含まれると述べており、こうした野望は、ロケット軍の指揮系統の揺れによって一時的に阻止されるかもしれません。

 

++++++++++++++++++++++++++++++++

  秦剛前外交部長の更迭が目立っていますが、ほぼ同じ時期に、中国人民解放軍で核ミサイルを管轄するロケット軍のトップも更迭されました。

 

  磐石の地位を築いたと思われている3期目の習近平体制ですが、粛清によって体制固めをしなくてはならない状態なのでしょうか?それとも権力闘争が中南海で起きているのでしょうか?


 


参考記事

<徳国之声>火箭军换帅意味着什么?

https://x.gd/MdToT