中国国家統計局のウェブサイトによると、8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.7で、4月以後5ヵ月連続で50を下回りました。新規受注指数は50.2で、前月から0.7ポイント上昇し、製造業市場の需要改善を示しました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
中国のPMIには国家統計局が発表するもの以外に、中国メディアの財新とイギリスのマークイットが共同で発表するもののがあり、ほぼ同時に発表された財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は51.0と前月から1.8ポイント上昇し、過去4ヵ月で3度目の50台となりました。
両社の大きな違いとしては、国家統計局の方は大企業中心の測定に対し、財新の方は中小企業の比率が相対的に高いとされています。
財新は、この指数から製造業が回復したと指摘しています。これは、特に消費財メーカーにおける製造業雇用の改善を伴っています。
一方、8月の非製造業景況指数は51.0で、前月より0.5ポイント低下したものの、依然として50を上回っており、これに伴い、中国国家統計局はサービス業が回復を続けていると指摘しました。
しかし、中国招商銀行が発表した最新の不動産8月報告によると、8月の不動産市場は引き続き低水準で推移しており、30大中都市の取引面積は同期間でも減少傾向にあるます。
9月1日に中国不動産業協会の公式サイトで発表されたデータによると、8月の不動産会社上位100社の業績は前月比1.3%減、前年比33.9%減でした。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、この住宅市場の状況に依拠して、消費者が実際に財布のひもを締め、支出を抑制していると指摘しました。また、この新しいデータは、中国の政策立案者に経済再生のためにもっと努力するようプレッシャーをかけるものだとも強調しています。
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中国国家統計局の発表する製造業PMIは、5ヶ月連続で50を下回り、製造業では景気は悪くなると考える人が多いことを示しています。
これに対して財新の発表するPMIは51.0であり、国家統計局の非製造業PMIも51.0と50を上回っており、中国経済に景気回復の兆しが現れていると早合点する人もいるかもしれません。
製造業PMIが4カ月以上連続で50を下回るのは2019年5-10月の連続記録以来で、製造業者の間で悲観的見方が根強くなっていることを示唆していると見る識者が多いです。
国家統計局が全国地域をカバーしているのに対して、財新のカバー範囲は中国東部地域の企業が中心とされています。財新カバー地域とされる中国東部は主に軽工業を中心としており、財新の統計対象は軽工業に偏っている状況でもあります。財新PMIは政府の意思が反映されにくい半面、統計局PMI 指数と比較すると、中国経済の実態が反映されにくいと見られていることにも注意が必要です。
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参考記事
<自由亜州電台>中国经济疲态继续 制造业、消费双萎缩