オランダの半導体輸出規制が9月1日に施行されましたが、オランダの半導体製造装置メーカーASMLは、年内は中国に半導体製造装置を出荷し続けるライセンスをオランダ政府から取得したため、受注出荷に影響はないと発表しました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
中国メディアの報道によると、オランダ政府が9月1日付でASMLに必要なライセンスを発行し、同社が今年末まで中国の顧客に出荷を継続できるようにしました。
ASMLは、深紫外(DUV)リソグラフィー「ツインスキャンNXT:2000i」と、より高度なDUV装置関連製品について、中国企業と締結した契約を実行します。
しかし、ASMLの最先端の極端紫外線(EUV)装置はこれまで中国の顧客に販売されたことはありません。
ASMLは、「当社の顧客も輸出管理規制による制限を承知しており、来年以降、ASMLは基本的にこれらの装置を中国の顧客に出荷するための輸出ライセンスを取得できなくなる」としながらも、この禁止措置が今年の業績見通しや長期的な見通しに重大な影響を与えることはないと見ています。
この規制の影響を受け、中国企業によるASML機器の調達が相次いでいます。今年7月の時点で、中国の、主要な半導体装置の輸入数は25.8億ドルに急増し、ASML初期の見積もりの通年で23.6億ドルをすでに超えています。
業界では、中国企業がASMLの機器の調達を、今年の終わりにかけて急ぐかもしれないと予測しています。
中国がもたらした国家安全保障上の懸念を軽減するために、6月にオランダ政府は、ライセンスシステムを開始し、ASMLは最先端の機器や技術を輸出するために、事前に申請する必要があります。
中国がこの問題でオランダと意思疎通を続けるかどうかは、外の世界で議論を引き起こしています。
中国商務部の束珏婷報道官は8月31日、「中国政府と輸出管理分野の関係国は意思疎通を維持する。 中国は、オランダを含むすべての当事者が客観的で公正な姿勢と市場原理を堅持し、契約の精神と国際ルールを守り、自由で開かれた国際貿易秩序を守り、企業の合法的な権益を保護することを望んでいる。」と述べました。
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米商務省は昨年、スーパー・コンピュータや人工知能(AI)に使う先端半導体やその製造に必要な装置、技術について、中国への輸出を事実上禁じました。
その際、半導体製造装置に強みをもつ日本とオランダにも同調するよう求めました。この分野の半導体製造装置は、日本、米国、オランダの3か国にほぼ限られているためです。
日本は今年春に仕向地を絞らず、対象を成膜や露光装置など23品目に限定し、輸出管理体制の状況などを踏まえ米国など42カ国・地域向けは包括許可に、中国を含めその他向けは輸出契約1件ごとの個別許可としました。
中国は黙って耐え忍ぶ国ではありませんので、半導体やLED、太陽電池などさまざまな電子部品の製造に欠かせない材料であるガリウムとゲルマニウムの関連品目について、2023年8月1日から輸出規制に踏み切りました。
日本から輸入する海産物を輸入禁止にしたのも、表向きには福島原発の処理水排水ですが、半導体製造装置の輸出規制と全く無関係とは思えないと見る向きもあります。
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参考記事
<世界新聞網>荷政府点头 ASML年底前续供半导体设备给中企