近年の中国人は子育てに消極的になっており、当局にとって社会的・経済的に大きな問題となっています。しかし、何がこの問題を引き起こしているのでしょうか? 北京を拠点とするシンクタンク、育媧人口リサーチが21日に発表した調査結果がその答えを示している。そして、親たちは子育てのために高いお金を払い、深い負担を強いられている。
米国国営国際放送の美國之音の記事より。
21日に発表された「中国生育成本(子育てコスト)報告2024年版」によると、中国で18歳まで子供を育てるコストは、一人当たりGDPの約6.3倍となっており、オーストラリアの2.08倍、フランスの2.24倍、アメリカの4.11倍、日本の4.26倍を大きく上回っています。
「中国生育成本報告2024年版」は、オンライン旅行サイトのCtripと、育媧人口リサーチの創設者である梁建章と彼の研究チームによって共同執筆されました。
このデータは、中国が子育てにかかる費用という点で、他の国々より実に「はるかに進んでいる」ことを示しています。
中国生育成本報告によれば、育児のための有給労働時間や賃金の大幅な減少によって、男性よりも女性の方がはるかに大きな影響を受けています。中国の現在の社会環境は女性の出産に不利であり、出産の時間的・機会的コストが高すぎるとしています。
中国の人口は近年減少を続けており、2023年の中国の新生児数は2016年のおよそ半分にまで減少しました。
高い子育て費用が、若者の結婚やキャリアの先延ばしへの消極性を高め、依然として深刻な男女差別の問題から、子どもを産まない選択をする女性が増えています。
報告書によると、0~4歳の子供を養育する母親は、通常、労働時間が年間2106時間減少し、その間の逸失賃金は6万3000元(約13万円)に上ります。
育媧人口リサーチの調査では、補助金の支給、保育サービスの改善、平等な産休・育休の導入、外国人乳母の受け入れ、柔軟な就労の許可、独身女性に既婚女性と同じ出産権を与えるなど、出産にかかるコストをできるだけ早く削減するための国レベルの政策が緊急に必要であることを強調しています。
報告書によれば、これらの措置が充実すれば、約300万人の新生児の増加が可能になるとしています。
報告書は、OECD諸国では希望する子供の数が2人以上であるのに対し、中国では希望する子供の数は2人以下であると指摘しています。
中国国家統計局の発表によると、中国の2023年の出生数は902万人、出生率は1,000人当たり6.39人で、いずれも1949年に中国共産党が統治権を確立して以来最低の水準を記録しました。
報告書によると、中国の出生人口は2017年から減少を続けており、2023年の出生人口は7年連続の減少となりました。
2023年の出生人口は2016年の半分以下となり、現在の人口動態を表現するのに、『出生人口の崩壊』と言っても誇張ではありません。
2023年の合計特殊出生率は約1.0にとどまっており、これは世界のほぼすべての国よりも低いだけでなく、少子高齢化が深刻な日本よりもかなり低くなっています。
報告書は、出産費用の高さが、出産適齢期の夫婦の出産意欲に影響を与える最も重要なマイナス要因の一つであると指摘しています。「現在の超低出生率が改善されなければ、中国の人口は急速に減少し、高齢化は加速し続け、中国のイノベーションと総合的な国力に深刻な悪影響を及ぼすだろう」と指摘しています。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
中国国内ニュースサイトの百度新聞によると、中国で18歳まで子供を育てるコストは一人当たり68万元(約1420万円)かかるそうです。
<2024版中国生育成本报告:养孩子到本科毕业,平均花费68万元>
それでなくても経済バブルの崩壊で給料が減り、失業が増えている状況では、子供を作れない夫婦がいたり、結婚しない若者が増えても仕方の無いことかもしれません。
日本の場合はどうなのか調べてみると、各保険会社が資産を出しています。ソニー保険の場合は乳幼児から大学卒業までの必要額は約2,900万円となっていました。(子育て費用のうち教育費は国公立か私立かで大きく費用が異なり、全て国公立に通う場合は約800万円、全て私立なら約2,200万~2,400万円必要としています。)
子育てにかかる費用ってどれくらい?年代別の教育費の内訳をご紹介|学資金準備スクエア|ソニー生命保険
日本の子育て費用は中国以上に必要です。でも、日本の一人当たりGDPは35,390ドル、中国は12,621ドルなので、一人当たりGDP比でみれば中国の方が子育て費用が高いと言えます。
参考記事
<美國之音>人口报告:中国养育孩子成本“遥遥领先”世界