米インド太平洋軍司令部は、中国が2027年までに台湾を攻撃する用意があると述べていますが、ある記事は、中国国民の経済的な現実に対する不満が、台湾を攻撃したいというナショナリストの声を上回り始めていると分析しています。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
マンチェスター大学マンチェスター中国研究所のホールズワース・研究員である王涛が、雑誌『フォーリン・ポリシー』発表した記事によると、中国の王毅外交部長は今年1月9日の演説で、「台湾との統一を成し遂げるという中国14億人全員の決意は揺るぎない」と強調したが、抖音(中国版TikTok)の最もポピュラーな反応は「自衛のためでない限り、私は戦争に反対だ」というものでした。
この反応は中国共産党にとって喜ばしいものではありません。何万人もの中国のSNSユーザーが、台湾との戦いに疑問を呈し、多くの人が不満、嘲笑、反抗を表明しました。上海のある男性は、「誰が戦うんだ? 私が死んだら、誰が住宅ローンと車のローンを払うんだ?」と投稿しました。
王毅外交部長の演説では、「国家統一」が中国の「核心的利益」のひとつであるとされたが、湖南省のあるユーザーは、「中国の核心的利益は、すべての中国人が平等に扱われ、高齢者介護や医療を受けられることだ」と反論し、山東省のある住民は、「台湾人が自らの生き方を選択することは、中国人が別の道を歩むことができることを示しているのかもしれない」とまで言ってのけました。
SNSユーザーの感情は、台湾の過去の選挙の時とは大きく異なっています。2016年以降、台湾の総統選挙が行われるたびに、中国のネットワーク上ではほぼ常に戦争支持の波が押し寄せていました。
しかし今年は、1月の総統選挙で民進党が勝利したことで、台湾の政治家や有権者は中国当局の統一計画には関心がないという中国側にとって打撃となりました。
武力統一のレトリックは依然として存在するが、民進党の勝利を受けて、戦争熱を煽る中国の民族主義者の動きは疑問視されているのです。
この変化の理由のひとつは、中国経済の減速であると記事は指摘します。
記事は、「中国における民衆感情の変化は、確かに両岸関係に影響を与えるだろうが、中国国民が台湾海峡での戦争に強く反対すると推測すべきではないだろう—結局のところ、ナショナリズムにはまだ根拠がある。」と書いています。
台湾統一への熱狂は冷めつつあるが、これは中国共産党が過剰に宣伝しながらも、熱烈な支持者の期待に応えられなかったことが主な原因です。
中国共産党がナショナリズムを利用しようとしても、経済が上向かず、国民が裕福でない限り、うまくいく保証はないと記事は論じています。
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中国人民の必死の訴えが、外界にも漏れ伝わってくるようになりました。
『戦争なんかするよりも、経済を上向かせろ!』という庶民の声が、共産党トップに届くことを願ってやみません。
参考記事
<自由亜州電台>中国民众不满经济:与其攻台不如增进民生