インド鉄鋼協会(ISA)は9月27日、米国が中国産鉄鋼の輸入に25%の関税を課すことを決定したことを受け、中国のインド向け鉄鋼輸出がさらに急増する可能性が高いと警告しました。
米国国営国際放送の美國之音の記事より。
バイデン政権は、中国から輸入される鉄鋼・アルミ製品に25%の関税を課すなど、中国原産の輸入品に大幅な関税を課すことを決定し、この決定は9月27日から発効しています。
インド鉄鋼協会のアロック・サヘイ事務局長は、ロイターのインタビューに応じ、「米国による中国産鉄鋼への貿易報復関税の発動は、インドを転用先とすることで、インドの鉄鋼業界をさらに負の影響にさらすことになる」と述べました。
インドは世界第2位の粗鋼生産国ですが、2024年3月期には鉄鋼の純輸入国となり、特に中国からの鉄鋼輸入量は右肩上がりで増加傾向にあります。
インドは、2024/2025会計年度の最初の5ヶ月(4月~8月)で、中国から110万トンの完成鋼を輸入し、これは7年ぶりの高水準で、前年同期比31.7%増となっています。
中国は世界最大の鉄鋼生産国です。 近年、中国経済の低迷により、不動産セクターが鳴りを潜め、地方政府が多額の負債を抱えているため、国内で使い切れない、あるいは飲み込めない中国の鉄鋼製品が世界市場にダンピングされ、欧米で強い恨みを買っているのです。
中国の鉄鋼の低価格競争はインドのバイヤーも引きつけており、インドの鉄鋼会社にも影響を与えています。
「略奪的な価格による輸入の急増は、横流しと中国の鉄鋼消費の急激な落ち込みのため、我々にとって二重の打撃だ」とサヘイ事務局長は述べました。
ロイターは9月26日の報道で、インド鉄鋼協会がインド政府に対し、インド市場への安価な中国製鉄鋼の猛攻を抑えるため、中国製鉄鋼の輸入に2倍の関税をかけること、つまり、すでに実施されている関税に少なくとも25%の追加関税を課すことを要求したことを明らかにしました。
鉄鋼協会のメンバーには、インド最大の鉄鋼会社であるジンデール・サウス・ウェスト・スチール(JSW)、タタ・スチール、アルセロール・ミッタル、日本製鐵インド、国営のスチール・インディアなどが名を連ねています。
日本やEUの鉄鋼会社も、世界市場が中国産鉄鋼で溢れているため、中国産鉄鋼の輸入を制限する措置をとるよう政府に求めています。
インド連邦鉄鋼相のH.D.クマラスワミは9月初に、安価な鉄鋼の輸入がインド国内の鉄鋼会社に「害」をもたらしていると述べました。
中国の不動産セクターは低迷を続け、インフラ整備のペースは鈍化しています。インドの経済活動は非常に活発であり、国中で進行中の大規模なインフラプロジェクトにより、世界の鉄鋼市場においてホットスポットとなっています。
これはインドの鉄鋼会社に活躍の場を与えただけでなく、世界の鉄鋼会社がインド市場に参入し、激しい競争を繰り広げています。
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中国の過剰生産能力は、さまざまな製品で世界中にデフレをばら撒いています。
共産主義は計画経済と聞いていましたが、中国の共産主義は無計画経済だったのですね。
参考記事
<美國之音>印度钢铁协会警告说,中国钢材遭美国加征关税后或转向印度倾销