中国北京大学のシンクタンク、南シナ海戦略情勢認識イニシアティブ(SCSPI)はこのほど、ソーシャルメディア「X」上で、今年4月と5月に西沙諸島(パラセル諸島)付近で多数のベトナム人漁師が「違法漁業」を理由に中国当局に拘束されたことを明らかにしたと、自由亜州電台の英語版が報じました。報道によると、拘束された漁民は生きたサンゴの採取や電気漁など、破壊的な漁法に従事した疑いがあるというが、正確な人数は明らかにされていません。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
ベトナムはこの事件に強く抗議しています。ベトナム外務省の報道官は先週、中国に対し、拘束されたすべての漁民と漁船を直ちに釈放し、適切な補償金を支払うよう要求しました。
ベトナムは、西沙諸島は古来よりベトナム漁民の伝統的な漁場であったと主張しているが、近年、中国は繰り返しベトナム漁船を海域から追放し、漁民に罰金や拘留を課しています。
10月にはベトナム政府は、ベトナム沖のクアンガイ省の漁船が中国の法執行官に乗り込まれ検査され、乗組員が殴打され、4人が重傷を負ったと発表しています。
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中国は、有名な九段線を南シナ海に引き領有を主張しています。九段線は海南島の南1500キロに伸び、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアの排他的経済水域に食い込んでいます。
中国は、この線は歴史的な地図に基づいていると主張しています。
2016年には国連仲裁裁判所が、『歴史的な九段線に基づく中国の主権主張は国連海洋法条約(UNCLOS)違反であり、無効とする』と採決しました。
これに対して中国は猛烈に反発し、「裁定は無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」「南シナ海における中国の領土主権と海洋権益はいかなる状況下でも裁定の影響を受けず、中国は裁定に基づくいかなる主張と行動にも反対し、受け入れないものである」と宣言し、さらに2020年4月18日には南シナ海に行政区を設置し、領有権主張をますます強めてきました。
中国は南シナ海に南沙区、西沙区設置し実効支配強める。日本は黙って見てるだけ? - 黄大仙の blog
仲裁裁判所には裁決に対する強制権がなく、当時国が裁決を守らなくても何もできません。
この記事のようなことは決して他人事ではなく、中国は沖縄尖閣諸島の領有を主張し、連日のように中国海警船が尖閣諸島近海に出没しています。昨今は沖縄は中国領と主張し始めており、沖縄の漁民が中国当局に拘束される事件が起きかねません。
2010年9月7日に起きた中国漁船が海上保安庁巡視船に体当たりした事件を覚えている人も多いと思います。
中国の好戦的で横柄な態度には毅然とした態度で望まなくてはいけませんが、中国は力のないものの意見になど聞く耳を持ちません。
参考記事
<自由亜州電台>在南海“非法捕鱼”遭拘留 中国关押越南渔民六个月