黄大仙の blog

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米国バイデン政権が国防次官に台湾系米国人女性を指名、中国は警戒感示す

アメリカのバイデン政権が国防次官(研究・開発・技術担当)に台湾系米国人女性の徐若冰(Heidi Shyu)を指名しました。元台湾空軍副司令官を祖父にもつ徐若冰の指名に、中国公式メディアは警戒感をあらわにしています。

 

  427日にバイデン政権が米国の国防次官(研究・開発・技術担当)に台湾系の女性科学者である徐若冰(Heidi Shyu、ハイディ・シュー)氏を指名したことが明らかになりました。

www.defensenews.com

  指名が承認されれば、徐若冰(Heidi Shyu)は米国防総省史上最高位のアジア系アメリカ人の官僚となり、国防次官を務める2人目の女性となります。

 

  徐若冰(Heidi Shyu)は、元台湾空軍副司令官の徐康良氏を祖父に持ち、ステルス戦闘機F-35のレーダー開発をはじめとする米空軍の重要プロジェクトを主導しました。

 

  徐若冰(Heidi Shyu)は、国防の分野で功績を残した数少ない女性の一人であり、F-35の「レーダーの母」と呼ばれています。

 

  台湾政府関係者によると、徐若冰(Heidi Shyu)は台湾と米国空軍の武器販売案件を担当しており、「かなり事情に詳しく、友好的である」とのことです。

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徐若冰(Heidi Shyu、ハイディ・シュー)氏

  台湾民進党の趙天麟立法委員は、これはバイデン政権の台湾への支援強化であると宣言し、「今後、徐若冰は軍事協力の面で多くのニーズを提供してくれると信じている。このような人材の登用は大きな励みになります」と述べています。

 

  バイデン政権の要職に台湾系アメリカ人が指名されたことに対して、中国公式メディアの環球網は警戒色を隠しません。

 

  429日の環球網に掲載された記事では、徐若冰(Heidi Shyu)の略歴を紹介しています。

 

  徐若冰(Heidi Shyu)は、米国の軍需産業部門で長く技術開発や管理を主導してきた豊富な経験を持ち、米国の大手兵器メーカーであるレイセオン社で、電磁システム研究所を管理し、F-35ステルス戦闘機の統合レーダー/電子戦センサープログラムのプログラムディレクターを務め、「F-35レーダーの母」と呼ばれています。

 

  また徐若冰(Heidi Shyu)は、 国防総省の文官として、アメリカ空軍科学諮問委員会の委員を務め、5年間その委員長を務めました。

 

  この委員会は、アメリカ空軍の技術や装備の開発に関する専門的なコンサルティングを行うもので、委員になっているのはアメリカのトップ科学者たちです。

 

  徐若冰(Heidi Shyu)は、オバマ政権時代の20129月から20161月まで、陸軍省の調達・ロジスティクス・科学技術担当次官補を務め、当時の米陸軍装備研究・調達の「第一人者」として活躍していました。 

 

  このことから徐若冰(Heidi Shyu)は、陸軍と空軍の両方の機器開発のプロフェッショナルであると言えます。

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徐若冰(Heidi Shyu、ハイディ・シュー)氏

  環球網の記事では、このように徐若冰(Heidi Shyu)の軍事面での経歴を紹介した後、バイデン政権の対中戦略は、トランプ時代の包括的な包囲網の考え方を変えておらず、特に軍事面では敏感な神経を刺激し続け、台湾問題では絶えずトラブルを起こしていると指摘しています。

 

 

  環球網は、「バイデン政権が台湾を使って中国をコントロールしたいと考えている」と考えて(邪推して)います。

 

  バイデン政権が台湾出身の徐若冰(Heidi Shyu)を国防次官に抜擢したことで、米台の軍事的結託の行方には想像力が働くが、台湾はアメリカ政府の「駒」に過ぎないと環球網は述べています。

 

  続けて環球網は、台湾はアメリカ政府の「駒」に過ぎず、発足まも無いバイデン政権がこの「駒」が使い古されたものであることに気付いてしまえば、徐若冰(Heidi Shyu)が仮にペンタゴンのトップになったとしても、米台軍事共謀問題で大きな役割を果たすことはないだろうと結論付けています。

 

  環球網の記事の結論は、何が言いたいのかよくわからないのですが、台湾系アメリカ人女性が国防総省の要職に就くことに、狼狽し警戒している様子が窺えます。

 

  ここで追い討ちをかける情報を一つ。徐若冰(Heidi Shyu)を国防次官に指名したのと同時に、国連アメリカ代表団に台湾系アメリカ人の盧沛寧(Christopher P. Lu)氏を推薦しました。

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盧沛寧(Christopher P. Lu)氏

  盧沛寧(Christopher P. Lu)ニュージャージー州生まれで、母方の祖父である王任遠氏は、台湾の司法行政長官を務めていました。

 

  アメリカの政権が代わっても、米台関係の絆はますます深まっているようで、中国政府の落ち着かない日々は続きそうです。

 

参考記事

 

<环球网>美提名台裔副防长,曾负责处理对台军售,这是什么信号?

https://bit.ly/3eNWplg

 

<Defense News>Biden picks Shyu for DoD research and engineering chief

http*://bit.ly/3t8xu0C