中国福建省からゴムボートで、台湾台中港に到着した中国大陸の男性が、台湾当局に逮捕されました。男は調べに対し、「自由を求めてやってきた」と供述しているようです。
台湾メディアによりますと、4月30日深夜に福建省石獅市からゴムボートで台湾台中港の西埠頭に到着した中国大陸の男性が、台湾当局に逮捕されました。
その男性は、台湾海峡を渡り、何の障害もなく渡航してきたと主張しており、「台湾の民主主義と自由に憧れて台湾に亡命した」と主張しています。
台湾海巡署(海上保安庁)によると、拘束されたのは「周」と名乗り、自称四川省出身の30代で無職の男です。
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4月30日朝に福建省石獅市を90リットルの燃料を積んだゴムボートで出発し、台湾海峡を渡って10数時間かけて台湾中西部・台中市の港に到着したと供述しています。
事実なら、沿岸警備当局や海軍の監視をかいくぐって台湾に上陸、ゴムボートを使って中国本土から台湾本島に密航した初のケースとみられます。
当局は燃料を積んだエンジン付きの小型ゴムボートを押収し、詳しい動機や渡航経路を調べています。
ゴムボートは中国山東省のメーカー製で、海難救助や軍事目的にも使用できる頑丈なタイプで、男性は船外機も含めネット通販で1万6000元(約27万円)で購入したと供述しています。
男性の密航の目的などをめぐり、「中国が台湾の沿岸警備能力を試しているのではないか」といった臆測が台湾で広がっています。
男性は事情聴取を受け、「自由に身を投じるために、福建省から台湾に渡ってきた。 自分は大陸で何の罪も犯していないし、指名手配犯でもない、ただ台湾の民主主義と自由に憧れているだけだ」と主張しているそうです。
当局は3日、「積んでいた燃料の量から、ボートで密航に成功する確率は低い」と述べ、途中まで船で運ばれてきた可能性などを示唆し、男性の供述の裏付けを進めています。
男性が航海したと主張している福建省石獅市から台湾台中港までは直線距離で約200kmあり、台湾の気象局によると、30日の台湾海峡は、波も風も大きくなかったといいます。
この事件を知った台湾国民からは、『発見もされず、何の障害もなく台湾に来たのが信じられない。いつかは潜入者も同じように成功するに違いない』と、台湾の海上防衛を心配する声もあがりました。
台湾の邱国正国防部長は3日、台湾メディアの取材に「(上陸するまで発見できなかった監視態勢に)問題があった」と認め、改善に努めると話した。
台湾海巡署の統計では、過去5年間に毎年5~8人の中国人の台湾への密航が確認されています。
台湾海峡の緊張が高まり続けている中で、中国人民解放軍にも台湾軍にも発見されずにゴムボートで渡航するというのは、にわかには信じられません。
台湾軍の海上防衛能力を探るなどの、中国軍からの密命を受けた行動と見るのは考え過ぎでしょうか。
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参考記事
<徳国之声>中国大陆男子偷渡台湾自称投奔自由
http*://bit.ly/3ecWGPt