9日、中国の「長征5B」ロケットの残骸の一部がインド洋に墜落しました。中国メディアは、「地上の人や物に大きな影響はありませんでした。 中国の宇宙飛行に関する欧米メディアの科学的根拠のない中傷や偽情報が止まりません。」と報じています。
中国の「長征5号B」ロケットの残骸は、9日大気圏に再突入し、インド洋のモルディブ諸島の西に墜落しました。
中国の公式メディアによると、東経72.47度、北緯2.65度の座標に墜落したといいます。
中国有人宇宙工程事務局は、残骸のほとんどが大気中で燃え尽き、燃え残りが海に落下したと発表しました。
Space-Trackは、長征5Bロケットが大気圏に再突入し、ロケットが落下したことをツイートしていました。
先に米国NASAが中国の無責任さと透明性の欠如を批判しており、ロケットの残骸の「無秩序な」落下は、広く国際的な関心を呼んでいました。
結果的にロケットの残骸は人や物に損害を出すこと無く落下したことで、中国メディアが『アメリカの中国に対する誹謗中傷と偽情報は破綻した』と報じました。
中国の雑誌『兵器』のウェブサイトに掲載された記事によりますと、長征5号Bロケットの残骸は高さ約30メートル、重さ約22トンで、中国が制御できない状態で地球の大気圏に再突入した最大級の物体ですが、ロケットの破片の落下による被害は報告されていません。
『兵器』によると、ロケット部品が制御されていない状態で地球の大気圏に再突入することは、何十年も前から国際宇宙飛行ではよくある現象です。
ロシアでもアメリカでもロケットは同じ問題を抱えており、両国は中国の何倍もの数の制御不能な宇宙物体を抱えています。 多くの科学者は、人口密集地への落下確率はゼロではないものの、極めて低いとしています。
しかしながら、アメリカのメディアは、中国を「無責任」、ロケットを「危険」と煽っているが、アメリカ自身が今も全く同じ危険を生み出していることも、何十年にもわたる大規模な発射活動が中国よりもはるかに大きな潜在的脅威を人類に与えていることにも触れていません。
オースティン米国防長官は、「宇宙に関する仕事をする人たちには、安全で思慮深い方法で仕事をすることを要求する」と熱弁をふるいました。
しかし、アメリカが同じようなロケット打ち上げを続けていることや、アメリカには軍事機密に関わるためトップシークレットに分類され公開されない同様の制御不能物体が大量に存在することには触れていないと『兵器』指摘しています。
『兵器』の論調は、「アメリカは事前に大騒ぎして責め立てたが、結局は何事もなく無事に終わったじゃないか。お前らだってロケットの残骸を地球に捨ててるだろ。」ということです。
「正論だ」と納得する人なんていないと思いますが、中国は「結局問題なかったのだから、それで良いじゃないか」という結果オーライ発想を押し付けてきています。
詳しい方に訂正していただきたいのですが、私の理解では「長征5B」ロケットのブースターは一段しかないために巨大(長さ30m、22トン)になってしまいます。このため大気圏突入で燃え尽きずに地表に達します。これはコスト削減のためと言われています。
米露のロケットブースターは2段以上になっていて、一つ一つのブースターは小さくなり、大気圏突入によって燃え尽きるような設計になっています。
中国では安全性よりも経済性を重視した設計で、米露では安全重視の設計がされています。
「地表面では、人が住んでいる地域よりも住んでいない地域の方がはるかに広いから、地表に落ちても被害の出る確率は小さい」という意見もありますが、確実に大気で燃え尽きるような設計を心がけるべきでしょう。
中国では昨年も地球観測衛星の打ち上げに使ったロケットのブースターが、人家の近くに落下して被害を出しています。
人命軽視も度が過ぎると思うのですが、一度北京にブースターを落下させれば、共産党の偉い人たちも安全設計の重要性を思い知るでしょう。
参考記事
<兵器>美国抹黑造谣中国,又一次破产!长征5B火箭部分坠落地球,很安全
http*://bit.ly/33zQKtz