出生数の低下に悩む中国政府は先日、産児制限をそれまでの二人から三人にすることを検討すると発表しました。これを受けて青島にある民間企業が、三人目の子供を出産した女子社員に対して10万元(約170万円)を支給することを決めました。
中国メディアの報道によりますと、三人っ子政策を支援する制度を決めたのは山東省青島にある「青島必诺盈生物技术有限公司」という会社です。
文書によると3人目の子供を妊娠した女性従業員には、年休の付与日数が2倍になります。さらに出産するまで栄養手当として毎月1000元(約17000円)を支給、産検休暇を毎月2日付与、出産費用を全額会社が負担となっています。
出産時には特別ボーナスとして10万元(約170万円)が支給され、1年間の有給産休が付与された上に、子供が3歳になるまで粉ミルク代として毎月1,000元が支給されます。もし双子が生まれた場合には、支給額は2倍になります。
男性従業員の妻が3人目を妊娠した場合には、妊娠期間には産検休暇を毎月2日付与し、出産後は100日間の有給育休が与えられます。
第3子奨励制度を打ち出した会社は他にもあり、重慶のある会社では、第3子を妊娠した女性従業員は、妊娠を申告した月から毎月の基本給が500元増え、出産時には特別ボーナスとして3万元(約51万円)が支給され、1年間の有給産休を取得できます。
男性従業員の妻が3人目を出産したときには、1万元(約17万円)の特別ボーナスを給付されます。
第3子奨励制度が報じられているのはこの2社だけですが、この動きが広がるのかどうかは今後も注目していきますが、このような奨励策によって出生数は増えるのでしょうか。
有識者によると、見通しは暗いと言います。
3人っ子政策に対象は80後、90後(80、90年代生)と呼ばれる、30代以下の若者になりますが、彼らは多くのプレッシャーに晒されていると有識者は指摘します。
これらの大きなプレッシャーとは、「就職のプレッシャー」「住宅のプレッシャー」「結婚のプレッシャー」「子育てのプレッシャー」などです。
現在、子育て費用や教育費用はあまりにも大きく、プレッシャーの原因となっています。若者は一方で住宅ローンや車のローンなどを返済していかなければならず、子供にもっと多くのエネルギーを注ぐことは当然できません。
子供が一人増えると、住宅のプレッシャーが増します。現在、住宅価格は年収の何十倍にも上昇し、都市では何年も苦労して住宅ローンの返済を続けて無くてはならず、彼ら自身の生活のプレッシャーもあり、子供を産み続ける気にはなれないでしょう。
このような若者が子供を産みたがらない理由に対して、専門家は少子化対策、住宅対策、雇用対策などの総括的で継続的な改善策を研究すべきとしています。
2012~2020年の出生数のグラフがあります。2015年までが一人っ子、2016年以後が二人っ子でした。
二人っ子になった直後の2016年こそ、出生数は前年を上回りましたが、それ以後は毎年前年を下回り続け、2018年以後は一人っ子時代よりも出生数が少なくなっています。
グラフから明らかなように、出生数の低下は産児数の制限が原因ではありません。3人っ子政策にしても、それだけでは出生数の回復は無理です。
経済発展とともに高騰した住宅価格の抑制や、経済格差の是正が急がれるのですが、これをまともに進めるとバブル崩壊を起こしたり、共産党体制にヒビが入りかねないので慎重にならざるを得ないのでしょう。
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参考記事
<腾讯网>青岛一公司10万元奖励生三胎女工,用实际行动支持国家三胎政策
http*://bit.ly/3vV6sMp
<多維新聞>青岛一公司承诺生三胎奖10万 仅有1名女员工响应
http*://bit.ly/3wX5sYk
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