中国北方の町、ロシア国境に近い黒竜江省鶴岡市が財政難により、地方政府公務員の公募計画を中止すると通達しました。鶴岡市政府は財政状況の著しい変化により、財政再建に乗り出したとして公務員公募中止を発表しましたが、世間の注目を集めたことから、このニュースは市のウェブから削除されました。
米国国営短波ラジオ放送局自由亜州電台の記事より。
12月23日、黒竜江省鶴岡市人民政府は公式サイトで、「鶴岡市政府の財政再建計画の実施により、財政状況が大きく変化したため、政府職員の公募計画を中止することにしたので、ご理解ください。」との通知を発表しました。
中国の時事評論家である李麗氏は27日、鶴岡市政府は中国で初めて財政再建を行った県級市であり、ここ1年以上、不動産価格の下落が続き、特に労働者の失業が深刻だと指摘しました。
李麗氏は、「 今年は公務員の給与削減があちこちで行われています。鶴岡は辺境にあり、経済が未発達なため、経済不況の状況はさらに厳しくなるであろう。」と述べています。
人口98万人の鶴岡市の昨年の借金は131億元(約2361億円)余りで、前年より15億元(約270億円)余り増加しました。
鶴岡市の2020年最終会計分析報告書によると、昨年、市の公共収入は2億元で、前年比7.8%減とマイナス成長であることが分かりました。
時事評論家の向偉氏は、「 鶴岡市は財政破綻の危機に瀕しているが、財政がマイナスになっているのは鶴岡だけでなく、東北地方の多くの都市がそうだ」と指摘しています。
向偉氏は、 「財政問題は、住宅価格の下落から、公務員の採用停止、さらには既存の公務員数の減少に至るまで、あらゆる面で示唆されます。」と指摘しています。
続けて向偉氏は、「これは地方債の規模が大きいことが原因です。 地方政府の債務規模が急速に拡大したため、GDPの成長率が低下し、実際、鶴岡は破綻寸前にまで追い込まれています。」と述べています。
中国政法大学の施正文教授は、「鶴岡市の財政再建を見ると、債務返済のリスクが高まっており、政府支出を減らして難を乗り切る必要がある。 財政再建は、基本的な生活費を守り、政府の基本的な運営を確保することを優先させなければならない。」と指摘しています。
鶴岡市では、新型コロナの流行でサービス業が落ち込み、政府の税収が激減し、鶴岡政府の財政難を悪化させました。
鶴岡市に限らず、東北3省(黒竜江省、吉林省、遼寧省)では、新型コロナ流行後、経済は落ち込み、企業は閉鎖されたり、従業員に給料を払えなくなりました。
東北3省は長年に渡り経済発展が遅れていたことと、過去2年間の新型コロナ流行の影響により、現在では不動産が暴落し、地方政府の財政は赤字、政府は職員を解雇しています。
今年は、浙江、江蘇、広東、上海などで公務員給与の大幅削減が行われ、上海の警察署長の年俸が35万元から約20万元、課長級公務員の年俸が24万元から15万元と減らされなどしています。
中国中央政府は、新型コロナ後の経済復興を高らかに宣言していますが、地方政府の財政は破綻寸前のところが多く、中央政府の言うことが本当のことかどうか疑わしいですね。
参考記事
<自由亜州電台>鹤岗市政府财政重整 停招公务员民间热议
http*://bit.ly/32IGWk1
<環球時報>黑龙江鹤岗:财力情况变化,取消招聘政府基层工作人员
http*://bit.ly/32vQnDp
<百度新聞>鹤岗市人民政府官网删除取消招聘政府基层工作人员通知
http*://bit.ly/3euoGxf
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