「中国共産党トップの習近平は、新型コロナの流行、不動産市場に端を発する経済危機、出生率の急落、党内の権力争いなど、いくつかの深刻な課題に直面しており、今年第4四半期の第20回共産党大会で再選の支持が得られるかどうか疑わしい。」米国の著名な投資家で大富豪のジョージ・ソロス氏が語りました。
米国国営の国際メディアの 美国之音の記事より。
ジョージ・ソロス氏は、米国のシンクタンクであるフーバー研究所で1月31日に行った講演で、習近平が周到に計画した、自らを毛沢東や鄧小平と同じ地位へ引き上げようとする試みは、中国共産党内の強い反対により実現しないかもしれないと述べました。
ソロス氏は、習近平に表立って反対する者はいないが、共産党内部では、鄧小平の思想を支持し、民間企業の役割を大きくしようとする者が、習近平に不満を持つなど、鋭い闘争が起きていると指摘しています。
「習近平があらゆる権力を握っており、威嚇によって支配を維持し、誰も習近平の聞きたくないことをあえて言わないのです。その結果、彼の考えと現実とのギャップが大きくなっています。」
ソロス氏は、中国が不動産市場を引き金とした経済危機に直面していると考えています。 不動産市場は、中国の経済成長の主要なエンジンであり、地方政府の主要な収入源となってきました。
しかし昨年、中国政府がこの持続不可能な成長パターンを打破するための措置を講じようとしたことが、一連の波及効果を引き起こした、とソロス氏は指摘しています。
中国最大の不動産開発会社である長江集団は、銀行の信用供与が得られず、債務不履行に陥いり、恒大集团は現在管財人の管理下にあり、中国の他のデベロッパーも同じような運命に直面しており、 人々の信頼は揺らいでいます。
ソロス氏は、中国当局がこの危機にどう対処するかはまだわからず、現在の状況は習近平にとって良いとは言えないと述べています。
不動産と密接な関係にあるのが、中国が抱える深刻な人口問題であるとソロスは言います。
ソロス氏は、「中国の出生率は公表されている数字よりずっと低いんだ。専門家は、 中国の実際の人口は、公式発表の14億人より1億3千万人ほど少ないと見積もっている。これはあまり知られていないが、不動産危機を悪化させ、労働力不足、財政逼迫、景気後退を生んでいる。」と述べています。
ソロス氏によれば、習近平が直面しているもう一つの難問は、中国製の新型コロナワクチン、最新のオミクロンに対応できないことです。
習近平は3期目の再任を勝ち取るまでは、これを認めることができないので、感染拡大防止のために厳しいゼロコロナ政策を取らざるを得ないが、ゼロコロナ政策は経済活動にマイナスの影響を与え、人々の生活に深刻な支障をきたしています。
ソロス氏は、オミクロン変異株は習近平の疫病対策政策の破滅につながる可能性が高いと予測しています。この感染力の強い新型コロナウイルスの亜種は現在中国全土に広がっており、大規模な都市閉鎖は、日に日にコストが上昇しているが、オミクロンを封じるために機能しているとは思えないからだと指摘しています。
ソロス氏の指摘は、習近平じゃ４つの危機に直面しているということです。
一つ目は、「習近平は強い権力を握っているために、周囲に彼に諫言する人物がいない」こと。
２つ目は、「中国の経済成長の主要なエンジンとなってきた不動産市場がバブル崩壊の危機に瀕している」こと。
３つ目は、「中国の実際の人口が、公式発表の14億人より1億3千万人ほど少なく、このことが、不動産危機を悪化させ、労働力不足、財政逼迫、景気後退を生んでいる」こと。
４つ目は、「新型コロナウイルスの感染対策としてのゼロコロナ政策は、実際には機能せず人々の生活を疲弊させている」こと。
今年の秋に開催される第20回共産党大会まで時間は残されていませんが、習近平は再任のための秘策を持っているのでしょうか？
そういえば、林芳正(Lin Fang Zheng)外交部長、もとい、林芳正（はやしよしまさ)外務大臣は、『習近平同志は再任される』と満面笑みで語ってますね。
参考記事
<美國之音>索罗斯：中国危机四伏 习近平或无法如愿连任
http*://bit.ly/345QMgY
<自由亜州電台>索罗斯质疑习近平能否顺利连任
http*://bit.ly/3B1OtHK
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