中国計画生育協会(CFPA)が発表した2022年の主な作業ポイントで、「未婚者の中絶に介入する特別プロジェクト」に言及したことが、未婚の妊婦の中絶を禁止するものと解釈され、パニックが起きています。
米国に拠点を置き、世界中の華人向けにアメリカ、台湾、中国、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを伝える世界新聞網の記事より。
中国計画生育協会(CFPA)の公式サイトはこのほど、2022年の活動の要点を発表し、その中で「生殖健康(リプロダクティブヘルス)促進行動」の実施に触れています。
生殖健康促進行動は、出産適齢期のリプロダクティブヘルスに関する問題の解決を重視し、『未婚者の中絶に介入する特別行動を開始』して10代の望まない妊娠と中絶を減らし、国民の生殖健康水準を向上させるとしました。
中国は昨年、計画生殖政策を3人に緩和する(いわゆる三人子政策)と発表しましたが、未婚者の中絶に介入する特別プロジェクトは、政府が未婚女性の中絶を阻止(禁止)しようとしているとネット民が解釈して、SNSはたちまちパニック状態になり、「出生率を上げるためには何でもするのか」という当局批判が多く聞かれました。
北京産科医院計画生育部の陳素文部長は、この措置は主に国の人口政策に適応するためであり、決して未婚女性の中絶を防ぐためではなく、女性の生殖能力と水準を守るためであると述べています。
陳素文部長は、中国の中絶の現状は深刻で、年間約800万~1000万件の中絶が行われており、そのうち47.5%が25歳以下の女性、49.7%が未婚の女性が行っていると指摘しました。
河北医科大学の唐龍梅氏は、博士論文『中国出産適齢期女性の中絶レベルの変化傾向および関連要因の分析』の中で、中国の中絶件数は2019年から2025年まで970万件前後で変動すると予測しています。
北京協和医科大学病院生殖健康センターの何芳芳主任医師は、中絶は子宮癒着、感染、子宮内膜症など女性の生殖能力に多くの危険をもたらし、一度内膜が損傷を受けると、程度の差はあれ女性の生殖能力に影響を与えると述べています。
何芳芳主任医師は、生殖健康促進行動の開始と実施は、中国における中絶の現状を改善し、望まない妊娠を最小限にするために若者に対する生殖健康に関する科学教育を強化すること、患者に安易に中絶させないこと、を実現させることができると述べています。
北京産科医院の陳素文部長は、中絶が避妊の手段ではないこと、女性、特に未婚の女性は自分を守ることを学ぶよう広報を強化すべきと述べています。
更に陳素文部長は、中絶が必要になった女性は通常の医療機関を受診するよう指導し、医療機関は専門的かつ安全な医療サービスや教育を提供しなければならない、と述べています。
日本の中絶件数は年間14万件ほどだそうです。それに比べて中国の年間約800万~1000万件は、10倍以上の人口を要することを考慮しても、中国の中絶件数は桁違いに多いです。
中国政府は『中絶は女性の身体に重篤な影響を与える』として、介入したいようです。
未婚の女性が出産した子供が、実質的に戸籍を取得できないことが、中絶する女性が多いことの原因だと思うのですが、この点は改善する気はないようです。
中国の法律的には、婚内子と婚外子との権利上の差は無いそうですが、未婚の母が政府に子供の戸籍を申請しても、受理されない事例が多くあります。
未婚で妊娠する女性は農村部から都市部に出てきた女性が多く、ほとんどは都市戸籍を持っていません。
都市で出産した女性が出生届を出そうとしても、都市戸籍がないことを理由に受理されません。
自分の出身地である農村で出生届を出そうとしても、多くの場合は居住実態がないことを理由に受理されません。
結局出産した都市でも、生まれ故郷の農村でも出生届が受理されないことになり、子供は無戸籍になってしまいます。
これは制度上の問題ですが、これを改善しないと中絶する女性は減らないでしょう。
都市戸籍を持つ女性なら起きない問題ですが、都市戸籍を持つ女性ですからねぇ、、未婚のままの妊娠がわかったら、ニンマリして相手の男から賠償金を巻き上げた挙句に子供を押し付けて悠々自適の生活をすることでしょう。
参考記事
<世界新聞網>中国干预未婚堕胎行动引恐慌 官媒:非禁止堕胎
http*://bit.ly/3LnOKJE