黄大仙の blog

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中国が石炭輸入関税を一律ゼロに。誰が本当の受益者か?

中国当局は、51日から各種石炭の輸入関税をゼロに引き下げます。世界的に石炭供給が逼迫し、石炭価格が高騰する中、エネルギー安全保障を確保するための中国が新たな動きを示しました。

  米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。

石炭採掘現場(露天掘り)

  米国、英国、日本が相次いでロシアの石炭を禁輸にしたことで、世界的に石炭供給が逼迫しています。

 

  中国財政部は428日に、石炭の輸入関税の調整に関する国務院関税委員会の発表を公表しました。

 

  それによると、 国務院関税委員会は、エネルギー供給の安全安定性を高めるため、202251日から2023331日まで、石炭の暫定輸入関税率をゼロとすることを決定したと発表しました。

 

  海外メディアは、この動きが世界一の温室効果ガス排出国である中国における二酸化炭素の排出量をさらに増加させる可能性があると指摘しています。

 

  そして、中国の動きによって、本当に利益を得るのは誰なのでしょうか? トレーダーはロシアだと推測しています。

 

  習近平国家主席は、二酸化炭素CO2)排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指すと表明しています。

製鉄には石炭燃焼による高温が必要です

  中国が輸入している無煙炭や原料炭は、主に製鉄用として使われています。 中国当局が導入した新ルールでは、この2種類の石炭の輸入関税が現在の3%からゼロになり、その他の石炭の輸入関税も概ね36%に引き下げられる予定です。

 

  今年の国際石炭市場の活況は、ロシアがウクライナに侵攻した戦争によって、欧米、日本など多くの国がロシアのエネルギーをボイコットしことが主因で、 代替エネルギーを求めて各国が石炭を買い求め、石炭価格の高騰を招きました。

 

  中国は、ロシアのウクライナ侵略戦争において名目上は中立の立場をとっていますが、実際には米国やNATOを非難し、ロシアを守るために最大限の努力を払っています。

 

  しかし、経済的には、中国は欧米の経済制裁の波及を避けるために、ロシアとの距離を置くように配慮し、 中国の税関が最近発表したデータによると、今年3月に中国が輸入したロシアの石炭は312万トンに過ぎず、前年同月の440万トンから約30%減少しています。

 

  中国は昨年、32,300万トンの石炭を輸入していますが、これは同国の総需要の約8%を占めています。

 

  基準石炭価格(HBA)は、2月に1トン188.38ドルが、3203.69ドル/トン、4288.40ドル/トンと上昇を続けています。

 

  しかし、ロイターは、石炭輸入関税の撤廃は、今年の中国の石炭輸入にそれほど影響を与えないだろうと見ています。 その理由は、中国の国内石炭生産量が過去最高水準にある一方で、海上価格が過去最高水準に高騰しているためだとのことです。

 

  これに加えて、中国への主要な石炭供給国であるインドネシアに対しては、これまで輸入石炭の関税をゼロにしてきたため、今回の措置は中国のインドネシア産石炭輸入には何の影響も与えません。

 

  さらに、世界最大の石炭輸出国オーストラリアについても、中国当局は現在、オーストラリアの石炭輸入を禁止しているため、今回の措置は影響はありません。

deepredrose.hatenablog.com

 

  以上のことから、中国の石炭関税引き下げの恩恵を受けるのは、ロシア産の石炭の輸入だと推測できます。これまで、ロシア産の石炭には6%の輸入関税がかかっていました。

 

  中国はエネルギーの安全保障を確保しつつ、ロシア支援をシレッとやってのけるのですから、外交手腕は見事なものです。ウクライナ戦争後の旧共産圏の盟主は中国で決まりです。

 

  ロシアを従え、中央アジアに覇を唱え、中国は正しく現代の『モンゴル帝国』であり、習近平国家主席は現代の『チンギス・ハーン』なのかもしれません。

 

  歴史的には、日本はモンゴル帝国の侵攻を撃退した数少ない国の一つなのですが、現代のモンゴル帝国の攻勢に対抗できるのでしょうか?ほとんど陥落寸前ですけどね。


 

参考記事

<世界新聞網>进口煤炭关税突降为0 贸易商: 罗斯是真正受益者

http*://bit.ly/3OKFGjP

<美國之音>中国煤炭进口关税统一削减为零,谁会是真正受益者?

http*://bit.ly/3kmKHRC