中国の学者たちは最近、ロシアがウクライナに軍隊を派遣する理由は無く、ロシア・ウクライナ戦争は中国にとっても百害あって一利無しであると主張し、同盟とは『あなたが他国を侵略するのを助けること』ではないと指摘しました。
フランス国営ラジオ放送局のrfiの記事より。
中国の官製メディアがロシアの公式見解をコピーして報じ、多くの高官がロシアの侵略を認め無い中、中国の学界では徐々に異論も出てきているようです。
高玉生・元駐ウクライナ中国大使が、中国国際金融30フォーラムと中国社会科学院国際学部とが主催したセミナーで『ロシアはすでに戦争に負けている』と発言しました。
中国国防大学の公方彬教授はWeChatへの投稿で、ロシアのプーチン大統領が間違った道を選び、領土拡大にこだわったことが、軍事や原油・天然ガス以外で成功できない原因であると指摘しました。
公方彬教授は「現代では、一国の影響力と世界をリードする能力は、主に政治、経済、文化、技術、科学の進歩に基づいており、世界の最先端にいれば、他者からの尊敬を得ることができる」と主張しています。
ロシアがウクライナに軍隊を派遣したのは、NATOの東方拡大が自国の安全保障空間を脅かしたからだと主張していることについて、公方彬教授は、「今のところ、世界第2位の軍事大国であるロシアに侵略する度胸のある国は無く、ロシアは自国の領土には誰も一寸たりとも触れる勇気はないと繰り返し世界に向かって明示している」と指摘しました。
『ロシアのいわゆる安全保障上の脅威は意味をなさない』とする公方彬教授の投稿はその後、WeChat運営によって削除されました。規約違反が理由だそうです。
清華大学国際関係学院の閻学通院長は、フェニックステレビの独占インタビュー番組で、ロシア・ウクライナ戦争は、グローバル化の観点から、今のところ、中国に何の利益ももたらしていないと分析しました。
閻学通院長は、「中国は世界最大の貿易立国であるため、反グローバル化の流れは中国にとって全くメリットがなく、ロシア・ウクライナ戦争は、反グローバル化の流れを進行させたと言える。」と述べました。
さらに閻学通院長は、「同盟の意味は、同盟国が戦争をしているときに自動的に戦争に参加することではなく、同盟国が誰かに侵略され、その国が侵略に対して反抗をしているときに自動的に戦争に参加することである」と説明しました。
「同盟条約は『私はあなたを助け、あなたを守ります』であって、『他者への侵略を手助けします』ではない」
中国とロシアとは正式な軍事同盟を結んでいませんが、2月4日に北京で習近平国家主席とプーチン大統領とが行った「二国間協力に上限と終わりはない」という宣言は、中露が現在の国際秩序に取って代わりたいと考えていると見られ、 北京冬季五輪翌日のロシアのウクライナ侵攻後も、中露は良好な関係を持っていたものと見られます。
閻学通院長は、ロシアの国内GDPはすでにカナダや韓国よりも小さく、今年のGDP成長率がマイナス11%と予想されていることを指摘し、「この程度の経済力の国がグローバルに挑戦していけるのか?この戦争によって、今後ロシアが世界に影響を与えることが難しくなった」と述べています。
中国でも、『ロシアに理無く、ロシアは敗北する』との意見が出始めているようです。
参考記事
http*://bit.ly/3lzltQM