中国の李克強首相は、現在の焦点は雇用と物価の安定であり、経済成長率は高くても低くてもよく、過剰な成長目標を追求して大規模な景気刺激策を打ち出すことはない、成長目標のために超大型の景気刺激策や過剰な通貨発行は行わないと述べました。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
李克強首相は19日、世界経済フォーラム（WEF）グローバル企業家ビデオ特別対話に出席し、新型コロナの流行などによって、中国経済の下方圧力が予想よりも急増したが、対応措置を取った後、経済は6月に反発した、と述べました。
李克強首相は、景気回復は極めて難しいが、重要なのは雇用と物価の安定で、雇用が比較的充実していれば、住民の所得が増え、物価が順調に推移する。経済成長は高くても、低くてもよいと述べました。
中国国家統計局が7月15日に発表したデータによると、6月の全国都市部の失業率は5.5％と、2ヵ月連続で低下したものの、若者(16～24歳)の失業率は19.3％に上昇し、過去最高を記録しています。
新型コロナ感染拡大防止対策として、習近平政権はゼロコロナ対策を徹底して行っていますが、大規模な都市封鎖処置により、休業する企業が相次ぎ、失業した人が新しい職を見つけるのも難しい状況が続いています。
第2四半期(4～6月)の中国の経済成長率はわずか0.4％で、一昨年に新型コロナ感染が拡大して以来最悪の経済実績となりました。
習近平政権のゼロコロナ対策が今年の経済成長に影響を与えているのは明らかで、最近でも上海や天津などいくつかの大都市では、感染力の強いオミクロン亜種の感染拡大により、全市民対象にPCR検査を行っており、多くの市民は再度の都市閉鎖を心配しているくらいです。
今年下半期も中国経済の低迷が続き、急速な回復のシナリオはあり得ないと予測しているエコノミストもいます。
エコノミストは、今年の中国の経済成長率の見通しを引き下げており、フランスのメガバンクのソシエテ・ジェネラルは、前回予想の4.1%から2.7%に引き下げ、イギリスのバークレイ銀行は、前回予想の3.3％から3.1％に引き下げました。
李克強首相は、あまりにも高い成長目標のために、超大型刺激策や通貨の過剰発行を行わないと述べており、経済の安定を優先させるつもりのようです。
李克強首相の経済安定化政策に立ちはだかるのは、習近平主席のゼロコロナ政策であることは言うまでもありません。
党のトップとして異例の3期目続投を狙う習近平と、次期主席就任待望論が出始めた李克強首相の権力闘争は、予断を許さない状況です。
参考記事
<世界新聞網>李克强：稳经济 不会推超大规模刺激措施、超发货币
http*://bit.ly/3Omvf4v
