黄大仙の blog

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米国政府、中国の監視装置企業への制裁を検討

米国は、イランの治安部隊に製品を販売している中国の監視機器メーカーに対する制裁を検討しています。対象となる中国の監視カメラメーカー天地偉業(Tiandy Technologies)は、昨年、米国商務省の取引制限リストであるエンティティーリストに掲載されています。

  ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。

中国の監視機器メーカーの天地偉業(Tiandy Technologies)

  ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、米国当局が、イランの治安部隊に製品を販売している中国の監視機器企業に対して制裁を課すことを検討しており、この件に関する話し合いを進めていると報じました。

 

  対象となっているのは、天津に本社を置く電子機器メーカー、天地偉業(Tiandy Technologies)です。 天地偉業は、イランのイスラム革命防衛隊に製品を販売しているとのことです。

 

  イランでは昨年9月に、22歳のイラン人女性マハサ・アミニさんが、ヒジャブを着用しなかったとして宗教警察に逮捕され、獄中で死亡しています。 この事件をきっかけに、イランでは国民的な抗議運動が起こり、イラン当局によって暴力的に弾圧されています。

 

  中国の税関のデータから、昨年9月にイランでデモが相次いで発生した後、中国のイラン向け映像機器の輸出が急増したことが明らかになっています。

 

  また、テヘラン警察は国営テレビで、ウェブ監視カメラを使ってデモ参加者を特定、追跡、逮捕する様子を公開しました。イラン政府高官とイスラム革命防衛隊顧問は、中国の技術を利用して、ヒジャブを着用しない女性を特定し、処罰することを計画しているとのことです。

 

  米国国務省財務省の両方が天地偉業への制裁を検討しており、もし実施されれば、同社は米国の金融システムから切り離され、米ドル建てでビジネスを行う能力が損なわれる危険性があります。

 

  天地偉業の公式サイトの会社概要によると、同社は天津市に拠点を置く世界大手の監視カメラメーカーで、製品は世界60以上の国と地域に販売され、北京の天安門広場、中国のロケット試験場、ダボスフォーラム、ロンドンのヒースロー空港、天津・上海・西安鄭州エクアドルの首都、タジキスタンの首都など500以上の都市で採用されています。

 

  昨年12月、米国商務省は、天地偉業など中国の技術系企業36社を輸出管理規則上のエンティティーリストに掲載したと発表しました。

www.jetro.go.jp

  エンティティーリストに掲載された企業は、米国商務省から特別な輸出許可を得ない限り、米国のサプライヤーから技術や商品を購入することができません。

 

  天地偉業の顔認識技術を利用して中国政府が新疆ウイグル自治区少数民族を迫害しているとされることや、イランの治安機関、警察、軍に監視装置を販売していることについて、これまで多くの人権擁護団体が懸念を示し、米国議会の議員の間でも懸念が広がっていました。

 

  民主主義防衛財団(FDD)の中国専門家、クレイグ・シングルトン氏は昨年、天地偉業を「ほとんどの人が聞いたことのない最も危険な中国のテクノロジー企業」と呼んでいます。

 

  天地偉業のイランの販売会社によると、CCTVカメラと顔認識やその他の最先端分析を組み合わせた同社の監視プラットフォームは、イスラム革命防衛隊や別の準軍事組織バシジに販売されており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、いずれも街頭デモの弾圧に重要な役割を担っていると報じています。

 

  また米国政府は、浙江宇視科技有限公司(Zhejiang Uniview Technologies)がイランの治安部隊に監視装置を販売したかどうかを調査しています。

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  米国商務省の輸出管理規則上のエンティティリストは、米国政府が特定の企業、団体、個人に対して経済制裁を行うために指定するリストです。

 

  このリストに載っている企業は、米国からの貿易、投資、金融関連の業務に制限が課せられ、米国企業や金融機関とのビジネスが困難になります。エンティティリストに載っている理由は様々であり、テロ支援や人権侵害、不正な核開発などがあります。

 

  米国商務省はこのリストを定期的に更新しており、状況に応じて対象企業を追加したり削除することがあります。

参考記事

<徳国之声>美媒:美国考虑制裁中国监控设备公司

https://bit.ly/3YmxNFe