中国軍は23日、「米軍艦が南シナ海の中国領海に侵入した」と発表、中国外交部は「挑発行為」だと米国を非難しました。米側は「日常的な行動」と、中国側の言い分に反論しています。
ドイツ国営の国際放送事業体である徳国之声の記事より。
中国人民解放軍南部戦区の田軍里報道官は23日、米国の誘導ミサイル駆逐艦USSミリアスが「中国の西沙領海に不法侵入した」と述べましたが、米国海軍は同日に中国側の見解に反論しました。
田軍里報道官は、「米艦の中国西沙海域への侵入は、南シナ海地域の平和と安定を損なう。中国側は追跡・監視して出ていくよう警告し、主権と安全を守るために「常に高い警戒態勢を維持し、あらゆる必要な措置を講じる」と述べました。
米国海軍は同日、米軍艦は「日常的な行動」をとっていただけだとし、中国側の声明に異議を唱えました。 米第7艦隊の声明は、「米国は、国際法が許す限り、飛行、航行、作戦を続ける 」としています。
中国外交部の汪文斌報道官は同日、「米側はこのような侵略的、挑発的な行動を直ちに止めるべきだ 」と米側を非難しました。
南シナ海では中国と米国の緊張が高まっており、米国は南シナ海領有権主張を進めようとする中国に対抗するため、アジア太平洋地域の同盟国との連携を強めています。
24日、米軍艦は南シナ海の航行の自由を守るため、再び西沙諸島の近くを航行しました。
中国国防部の谭克非報道官は24日に、「米軍の行動は、中国の主権と安全を著しく侵害し、国際法に著しく違反し、航行に対する大きな覇権と南シナ海の『軍事化』を示すもう一つの鉄壁の証明である」と述べました。
谭克非報道官は、「我々は、米国側がこのような挑発的行為を直ちに停止することを厳粛に要求し、さもなければ、結果として生じる不測の事態の深刻な結果を負担することになる。 中国人民解放軍は、国家の主権と安全を断固として守り、南シナ海の平和と安定を断固として守るために、あらゆる必要な措置を講じる」と述べました。
ただし、中国人民解放軍がどのような「必要な措置」をとるかは明言していません。
南シナ海は世界で最も重要な海上貿易ルートの一つであり、毎年約3兆米ドル相当の船舶による貿易が行われており、日本向けの輸出入品の多くが通過する日本のライフラインでもあります。また、この海域は魚介類や海底鉱物資源も豊富です。
米中両国は南シナ海海域で何度も紛争を起こし、昨年7月には中国軍が「米艦ベンフォールドが同海域に侵入し、追い払われた」と発表し、 米軍もこの時、「米国は国際法上の航行の自由と海の正当な利用を守ることを目的としている」と反論しています。
米国は当時、「一部の国が国際法で認められた以上の権利を主張し続ける限り、すべての人々が享受する海の権利と自由を擁護し続ける」と述べています。
昨年1月には、米軍艦USSベンフォードが南シナ海海域に入りました。これに対して中国は強い不満を示し、「西沙諸島は中国の領土であり、米国の行動は、中華人民共和国の領海及び連続地帯に関する法律に基づき米国が主張する『航行の自由』などではなく、中国の主権を侵害し、南シナ海の平和と安定を危険にさらす深刻な挑発行為である」としました。
西沙諸島は、台湾とベトナムが主張する南シナ海の一部でもあり、1974年には中国とベトナムの間で西沙海戦を引き起こした。
中国は実際に同海域の島々で建設・開発を行っている。
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最近はウクライナ戦争や、台湾問題がクローズアップされる中、南シナ海問題は忘れられていましたが、中国が国際法に違反して南シナ海の南沙諸島、西沙諸島を不法占拠し、軍事基地を建設していることは日本はもっと問題視すべきです。
参考記事
<徳国之声>中国指美舰擅闯南海 美方否认称是例行航行