黄大仙の blog

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中国では、当局がスパイをいたるところで監視している

フランス・ルモンド紙の北京特派員であるフレデリックルメートルは、中国でスパイ行為に関わる捜査が増加し、スパイ行為に問われて逮捕される外国人や中国人が増えていることについてコラムを書きました。経済の分野では、中国当局と外国企業の中国における子会社との関係が緊張していると言います。

  フランス国営ラジオ放送局RFIの記事より。

中国で改正反スパイ法成立

  ルメートル特派員は、中国は3年間にわたるゼロコロナ政策を解除し、世界への扉を再び開いたが、再開から4カ月も経たないうちに、多くの外国人企業家が北京や上海に行くのを躊躇するようになったと書いています。

 

  一部の外資系企業では、駐在員の家族に帰国を促しているところもあります。この現象は、特に一部の日本企業で起きていることで、アメリカ企業でも起きているといいます。

 

  それはなぜか?ルメートル特派員は書いています。「最近、中国にある外資系企業は、ますます多くの捜索を受けるようになり、一部の中国人や外国人がスパイ容疑で告発され、逮捕されることさえある」

 

  フィナンシャル・タイムズ紙によると、上海の警察は最近、米国の経営コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーのオフィスを家宅捜索し、逮捕者はなかったものの、コンピューターや携帯電話を押収しました。

 

  しかし、経済コンサルティングを専門とする米国企業のマインドセット・グループの北京事務所では、中国人社員5人が逮捕されました。

 

  さらに3月初めには、日本の製薬会社アステラス製薬の中国法人に勤務する日本人男性も逮捕され、後に、スパイ容疑で逮捕されたことが明らかになりました。

 

  北京にいる日本の外交官は、逮捕された日本人男性に関する情報を得ることができませんでした。日本メディアの報道によると、2015年以降、中国で少なくとも17人の日本人がスパイ容疑で逮捕されています。

 

  ルメートル特派員は続けて、リベラルな中国の著名なジャーナリストである董郁玉氏が20222月に日本の外交官と昼食をとった後に逮捕されたことも最近明らかになったと書いています。

 

  董郁玉の家族は、裁判が始まろうとしていることから、この事件を公表しました。董郁玉はスパイ活動の疑いで、最大10年の懲役刑に処されます。

 

  董郁玉が会った日本人男性も数時間にわたって尋問を受けましたが、これは外交官の保護に関するウィーン条約に違反しています。

 

  また、ルメートル特派員は、欧米大使館に勤務する外交官4人が最近、中国西部を旅行中に数時間拘束された可能性があることを把握したとのことです。

 

  康明凯という名前を覚えていますか?カナダ人外交官のマイケル·コブリグ氏の中国名です。彼は数年前に、ファーウェイのナンバー2の孟晩舟がカナダで逮捕された後、理由もなく中国で1000日以上拘束された2人のカナダ人のうちの1人です。

deepredrose.hatenablog.com

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  康明(マイケル・コブリグ)はこうツイートしました。「強くなるセキュリティ、厳しくなる管理、消えていくまともな行動、高まるパラノイア、沈黙と孤立の「大きな壁」はどんどん高くなる……

 

  ルメートル特派員によれば、こうした捜索、逮捕、拘留は決して偶然ではありません。西側諸国からスパイ行為で非難されることが多くなっている中国は、この点に関しても自国の法律を強化しているのです。

 

  中国は426日に改正反スパイ法を成立させたばかりで、71日に施行される予定です。新しい反スパイ法は、特に「国家の安全および国益に関わる文書、データ、資料、物」を保護するものです。この法律は、国家安全保障を構成するものを定義していないため、スパイとみなされる行為は非常に広範に及びます。

 

  日本の法律家は、中国人と政治について議論したり、写真を撮ったり、調査を行ったりすることは、法律で罰せられる可能性があると指摘します。

 

  米国議会の中国委員会のマイク・ギャラガー委員長は、中国の反スパイ法について「世界に明確なシグナルを送るものだ。中国には、本当の意味での私企業は存在しない。 国家はすべての財産を没収し、すべてのIPアドレスを盗み、すべてのデータを自由に収集する権利を持っているのです」と述べています。

 

  また、ルメートル特派員は、中国資本と外国資本が共同出資するジョイントベンチャーでは、状況が頭痛の種になりかねないと指摘します。「中国人は外国人の行動について不審に思ったことはすべて当局に報告することが義務付けられているため、中国人との相互不信が強まる一方だ」ということです。

スパイの密告を呼びかけるビラ

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  改正反スパイ法は、中国当局が「国家の安全と利益」に関わると判断する動きを幅広く摘発できるようにする法律ですが、スパイの定義が曖昧で不透明なので、恣意的な運用も可能だと指摘されています。

 

  日本の企業でも中国駐在員に注意を喚起していたり、日本で採用した中国人を現地駐在員に派遣するなど対応策を取っているところもあるようです。

 

  企業に属さないで、個人事業主として中国に滞在している方々もいるのですが、突然に逮捕・勾留されても気づかれることもなく闇に葬られてしまいますので、気をつけて欲しいです。

参考記事

<rfi>在中国,当局到处都能看到外国间谍

https://bit.ly/3Lu3wiO