カナダで審理中のファーウェイCFO孟晩舟氏身柄引き渡し裁判の審理が、8月10日に終了し、まもなく最終結果が発表されます。評決に影響を及ぼそうとするかのように、中国で拘束中のカナダ人に対して、相次いで死刑、懲役11年の刑罰が言い渡されました。
米国に拠点を置き、中華人民共和国の政治ニュースを専門的に扱う多維新聞の記事より。
8月4日からカナダで再開されていた、ファーウェイの最高財務責任者である孟晩舟氏の身柄引き渡し裁判が10日に終了し、今後10日以内に孟晩舟の身柄引き渡しの可否を判断する結果を発表することになりました。
様々な情報源から得られた現在の情報によると、孟晩舟の状況は芳しくなく、米国に引き渡される可能性が高いと言われています。
孟晩舟は2018年12月1日に、トランジットで立ち寄ったカナダ·バンクーバー空港で、米国政府の依頼を受けたカナダ当局によって逮捕されました。
米国は、ファーウェイがスカイコムという香港のダミー会社を使ってイランに通信機器を販売したことを告発し、米国の対イラン制裁を回避するために銀行に虚偽の申告をしたとして、孟晩舟を詐欺容疑で起訴しました。
時を同じくして、中国共産党は中国で拘束中のカナダ人の事件を、立て続けに処理し、1人は死刑、もう1人は懲役11年の判決を出しました。
中国共産党はカナダ人への判決と、孟晩舟の事件とは関係がないと主張しています。
カナダ人のロバート·ロイド·シェレンバーグは、2014年12月に中国での麻薬密売の容疑で逮捕されました。審理は2016年3月に始まっており、時間的には、シェレンバーグ事件と孟晩舟事件の間に因果関係はありません。
シェレンバーグ事件は2018年11月に、懲役15年の刑を宣告され、シェレンバーグの控訴後の今年8月10日に死刑判決が下されました。
カナダ人実業家のマイケル·スペーバは、孟晩舟逮捕直後の2018年12月10日にスパイ容疑で逮捕されました。欧米諸国は中国の「人質外交」だと非難していますが、中国共産党は否定しています。
スペーバ事件は8月11日に結審し、「スパイ行為および国家機密の外国への不法提供」の罪で有罪、懲役11年、私財5万人民元(約85万円)の没収が言い渡されました。
シェレンバーグ事件でも、スペーバ事件でも判決が出た直後に、カナダ政府は強く非難しました。
シェレンバーグ事件は麻薬犯罪のため、有罪は当然ですが、1審で懲役15年だった量刑が2審で死刑となっており、しかもカナダでの孟晩舟事件の結審と同日の判決でした。
スペーバ事件は、孟晩舟逮捕の報復で冤罪事件だと見られており、判決後に、25カ国50人の外交官が北京のカナダ大使館に集まり、スペーバとの連帯を表明するという異例の事態となりました。
スペーバ逮捕と同日の2018年12月10日には、カナダ人外交官のマイケル·コブリグ氏も、スパイ容疑で逮捕されていますが、コブリグ事件は審理中で、判決はまだ出ていません。
コブリグ氏とスペーバ氏の逮捕が、孟晩舟逮捕への報復で行われた「人質外交」と非難される中国共産党の行動です。
カナダのトルドー首相も、コブリグ氏とスペーバ氏の逮捕を不当なものであるとした上で、二人の即時釈放を要求しています。
3権分立のカナダでは、裁判所の判決に政府が口出しすることはできませんが、3権が中国共産党の管理下にある中国にはそれが理解できず、人質を取れば孟晩舟を取り戻せると思ったのかもしれません。
2年半に渡った孟晩舟事件ですが、いよいよ山場を迎えました。
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参考記事
<多維新聞>两个信号:孟晚舟很危险
http*://bit.ly/2VFwc2N
<多維新聞>谢伦伯格死刑|加拿大外长斥责判决 中使馆:勿自取其辱
http*://bit.ly/3yG4TU9
<rfi>加拿大商人迈克尔斯帕佛罪成判刑11年 25国50外交官聚加使馆声援
http*://bit.ly/3CE6sUR
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