中国がいわゆる「失われた10年」や「失われた20年」という日本の足跡をたどるのかどうかを、金融アナリストたちが議論しています。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、デフレを含む多くのパラメーターを分析した結果、中国株はすでに世界で最も割安な水準にあり、投資家にとって「失われた10年」はとうに過ぎているといいます。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
中国の株価は2007年の水準を下回り、一株当たり利益は2013年から変化していないため、中国の投資家は「失われた10年以上」を経験しているとWSJ紙は分析しています。
WSJはまた、中国の成長は人口の増加、資本の増加、労働者と資本の有効活用という3つの要因からしかもたらされていないと指摘しています。
2001年にWTOに加盟してからは、中国は驚異的な経済成長を遂げましたが、いまは生産性統計は10年以上にわたって下降線をたどっており、その結果、企業収益の悪化と株価の低迷がもたらされています。
中国の現在の苦境は、企業や政府が建設に多額の借金をし、経済に資本を投入しすぎたことに起因しています。本当に危険なのは、ゼロコロナ政策緩和後の景気回復が予想以上に弱く、しかもこれは ほんの始まりに過ぎないということです。
成長率の数字を押し上げた中国の建設投機ブームは、もはや過去のものとなっています。中国経済の25~30%を占める不動産関連支出への依存は、経済の深刻な足かせとなっており、その割合を下げる必要があります。だからこそ中国は、日本と同じ過ちを犯す可能性があるのと指摘されています。
中国は日本の『失われた20年』を研究したはずですが、残念ながら中国は行動を起こしませんでした。
モルガン・スタンレーのスティーブン・ローチ前アジア地域会長は、「中国は消費者主導の成長への転換を口先では言っているが、行動はほとんどしていない」と述べています。
中国は借金で問題を解決するのをやめ、代わりに国内消費を促し、生産性を向上させる必要があるのですが、すでにローンの支払いを開始している住宅が完成しないかもしれないと人々に危惧させることはできず、デベロッパーを倒産させたり、輸出企業への支援金を取りやめたりするのは政治的に難しくなっています。
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『中国共産党は日本のバブル崩壊と失われた20年を研究し尽くしており、中国経済のバブルを無事にソフトランディングさせるに違いない』と言われたのは2010年前後のことだったように記憶しています。
日本はその後も順調に、失われた年数を積み上げ、『失われた30年』を実現しましたが、中国は日本の跡を追って『失われた10年』を現実のものにしてしまったようです。
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