中国経済が長期停滞のリスクに直面し、深刻化する不動産危機が金融の安定を脅かす中、習近平国家主席が経済を救うための措置を急がないことへの不安が高まっています。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
ロイター通信の分析によると、中国政府の対応がいまひとつなのは、これが単なる経済問題ではなく、地政学的な問題だからだとしています。
一部の中国ウォッチャーは、習近平が国家安全保障に重点を置いていることが、経済活性化に逆行し、中国政府が誘致しようとしている外資を脅かし、経済努力を制限していると考えています。
経済調査会社ガベカル・ドラゴノミクスの中国研究副部長クリストファー・ベドー氏は、「今年の核心的な問題は、指導部が経済のバランスをとるよう当局者に曖昧な指示を与えていることだ」と述べました。
指導部が何を望んでいるのかわからない場合、役人はもっと情報が得られるまで様子を見るかもしれません。その結果、たとえその代償が莫大なものであったとしても、政策が麻痺してしまうのです。
また、中国共産党の人民への根強い警戒心は、国家から民間部門に権力を移しかねない施策や、習近平の忠実な支持者で固められた政府に対して、反体制運動はもちろん、政策論争をも抑制し、反応を鈍らせる可能性があると言う人もいます。
エコノミストは、中国は減税や政府出資の消費者バウチャーを使うなど、消費と景況感を高めるための措置を講じる必要があると言いますが、これまでの景気減速とは異なり、即効性のある解決策はありません。
中国国務院は17日、具体的な内容は明かしませんでしたが、民間企業の環境を『最適化』し、外資誘致の取り組みを強化すると発表しました。政府関係者によると、民間部門は国内総生産の60%、都市部の雇用の80%を占めているとのことです。
しかし、在中国の外交官によれば、政府高官による投資への呼びかけと、企業の信用を損なう国家安全保障上の徹底的な取り締まりとの間には、ますます断絶が見られるといいます。
その一例が、最近の改正反スパイ防止法執行と、外資系コンサルティング会社に対する家宅捜索です。
スタンフォード大学の中国経済・制度センターの研究者である許成剛氏は、「中国の指導者たちが民間の信頼を高めるための措置を急がないのには、もっと深い理由があるのではないか」と指摘します。
「中国共産党が長年恐れているのは、資本主義と民間経済が十分に強くなれば、中国共産党が倒されるかもしれないということだ。」
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習近平国家主席の頭にあるのは、自身と共産党の権力を持続させることであって、経済回復や発展は二の次だと指摘しています。
たしかにアリババやテンセントなどの超一流IT企業を徹底的に叩いたり、私塾や家庭教師を禁止して教育の機会を制限したり、『共同富裕』のスローガンを掲げているのに富裕層を叩いて『共同貧困』を目指したり、中国はトップが自分の首を絞めるような政策を続けています。
移民仲介会社に名簿の提出を命じたとの噂もあり、国外に逃げようとする富裕層の国内財産を差し押さえる準備ではないかと巷間言われています。
世界第2位の経済大国にまで成長した中国ですが、このままでは萎んでしまいます。
参考記事
<自由亜州電台>路透:习近平更重维稳 不急于救经济