ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は、11月15日にサンフランシスコで行われた会談で、フェンタニルとの闘いにおける米中協力について合意し、前向きなシグナルを発表しました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
中国国家麻薬管理委員会は11月16日、違法薬物の原料となる物質の製造と販売を禁止する通達を発表しました。この通達はまた、外国の法執行機関の「ロングアーム司法権」の対象となる危険性についても警告しています。
米政府高官によると、中国はバイデンと習近平の関連合意で、フェンタニルの前駆物質を生産する特定の化学企業を直接追及します。
しかし、この米中間の合意によって、米国へのフェンタニルの流入がどの程度抑えられるかについては懐疑的な見方もあります。
ニューヨーク・タイムズ紙によると、フェンタニルの原料の多くが合法的な化学物質であり、他の産業でも合法的な目的で使用できるため、阻止が難しく、問題が複雑化しています。
また、AP通信によると、米国の非営利団体Shatterproofの公共政策責任者であるケビン・ロイ氏は、米中協定で発表された対策は全体的な大きな問題の一部に過ぎないと述べています。
また、米国へのフェンタニルの輸入におけるメキシコの役割も懸念されています。中国が2018年にフェンタニルの輸出を取り締まると約束した後、その生産の多くはメキシコにシフトしましたが、原料は中国から供給されています。
メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は11月16日、中国の習近平国家主席と会談し、両国間の違法な麻薬取引を取り締まることで合意しました。
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米国では2021年、薬物の過剰摂取で死亡した約10万7000人のうち、3分の2はフェンタニルが原因です。
通常の麻薬より安価であることに加え、医療用とされていることから、依存性が強いにもかかわらず安易に手を出してしまうと言われています。
米国では7分に1人がフェンタニルで命を落としている計算となる。18~49歳までに限れば、死亡原因の第1位はフェンタニル中毒です。
最近、効果を長時間維持する目的でフェンタニルに動物用鎮静剤「キシラジン」を加えた新種の薬物もまんえんするようになっています。皮膚にあざができ、体の一部を切断せざるを得ないケースが多発していることから、「ゾンビドラッグ」と恐れられています。
米国でまんえんする違法フェンタニルの直接の生産者はメキシコの麻薬マフィアですが、その原料を供給しているのは中国です。
米国との貿易摩擦を回避する観点から、中国政府は2019年からフェンタニルの輸出規制を強化しましたが、バイデン政権の圧力強化に不満を募らせる中国政府は、その報復として2019年に強化したフェンタニルに関する輸出規制を緩めていました。
参考記事
<自由亜州電台>拜習會後 中國對販賣非法藥物提出警告