米諜報当局者は2月末、米上院議員に対し、中国の製薬会社・ウーシー・アップテックが過去に米国の顧客に関する知的財産権情報を、彼らの同意なしに中国政府に渡していたことを明らかにしました。
米国議会の出資によって設立された短波ラジオ放送局の自由亜州電台の記事より。
米連邦捜査局(FBI)、米国務省、国家情報長官室が主導したこの機密ブリーフィングで、当局者は、ウーシー・アップテックとその他多数の中国企業が、米国の国家安全保障上の利益に反する活動を米国内で行っていたと述べたと、ロイター通信が引用した2人の情報筋が伝えました。
ウーシー・アップテックの広報担当者は、「ウーシー・アップテックが米国の顧客のデータや知的財産を不正に中国に移転した事実はない。 ウーシー・アップテックは米国連邦および州当局の要求を尊重し、完全に遵守している。」と述べています。
在米中国大使館は、ウーシー・アップテックが国家安全保障を脅かしているという米国議会の主張は根拠がないと非難しています。
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中国には『国防動員法』『国家情報法』というものがあって、有事に軍事動員するのが『国防動員法』、有事・平時を問わず中国政府の情報工作活動への協力を義務づけるのが『国家情報法』です。
両法とも、中国人が対象なのは当然ですが、中国国内はもちろん海外在住の中国人をも対象としています。
ようするに政府の要求があれば、世界中どこにいても中国人は、中国の軍事活動に協力しなくてはなりませんし、持っている情報を過不足なく政府に提出しなくてはいけないのです。
ウーシー・アップテックの企業情報は下記の通りです。
企業情報
ウーシー・アップテック(無錫薬明康徳新薬開発股分有限公司)は主に新薬の研究開発(R&D)、生産と支援サービス、及び関連技術プラットフォームサービスの提供に従事する中国の企業である。【事業内容】同社の主な事業は、低分子医薬品の発見・開発・生産及び関連サポート試験、臨床試験サービス、医療機器試験サービス、精密医療研究開発と生産サービスなどを含む。世界中に29の研究所や製造拠点を持つ。
中国籍だからと言って排除するのはやってはいけないことですが、『国防動員法』『国家情報法』のリスクを念頭に置く必要はあります。中国企業や中国人に開示する情報は、中国政府に渡っても問題がないか事前チェックは最低限必要です。
参考記事
<自由亜州電台>美情报官员:药明康德将美客户资料交给北京