米政府は16日、強制労働を理由に、新たに26の中国綿花業者または保管施設に対し、製品の輸入を禁止すると発表しました。このうち21は卸売市場で新疆綿を入手・販売していることが判明、残り5つは新疆綿を購入していることが判明し、禁止は17日に発効しました。米国土安全保障省は今回の発表がリストの最大の拡大であるとしています。
米国に拠点を置き、中国、台湾、香港、マカオの政治、経済、社会、生活、金融などのニュースを世界中の華人向けに発信するメディアの世界新聞網の記事より。
ロイター通信によると、米国土安全保障省は16日、ウイグル人強制労働防止法事業者リストの拡大を発表しました。
米国土安全保障省の声明によると、リストに追加された綿花製造業者は新疆ウイグル自治区に拠点を置いていないが、その綿花は新疆ウイグル自治区産です。
米国土安全保障省は、この企業グループに対する禁止措置は、サプライチェーンの透明性を高め、責任ある企業がサプライチェーンにおいてデューデリジェンス(*)を実施し、強制労働によって製造された商品が含まれていないことを確認できるようにすると強調しました。
[*デューデリジェンス]:企業などに要求される当然に実施すべき注意義務および努力のこと。
これに対し、在米中国大使館の報道官は、いわゆる「ウイグル人強制労働防止法」は、新疆ウイグル自治区を不安定化させ、中国の発展を抑制するための米国の一部の政治家の道具に過ぎないと批判しています。
米国政府は2021年にこのリストを採択して以来、65の団体からの輸入を制限しています。
国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス長官は、織物の取締り戦略を継続し、「ウイグル人を搾取し虐待している中国の責任を追及する」と述べました。
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ウイグル人強制労働防止法は、2021年12月に成立し、2022年6月21日から施行されている法律で、新疆ウイグル自治区で人権を侵害する手段で生産された商品が、米国市場に入ることを防ぐための法律です。
米国、6/21から新疆製品の輸入を禁止、同盟国にも同様の措置を取るよう呼びかける 中国、協力に重大な支障と非難 - 黄大仙の blog
この法律は、輸入業者が強制労働のないことを証明しない限り、製品の輸入を禁止するものです。また同法は、米国土安全保障省にウイグル人らの抑圧で中国政府に協力している企業・団体のリストを作成するよう義務付けています。
この法律には「反証可能な推定」が含まれており、新疆ウイグル自治区からのすべての商品は強制労働を伴うと推定され、強制労働によって生産されたものではないことが証明できない限り、中国新疆ウイグル自治区で生産された産品、及び同産品を組み込んだ産品は、米国に輸出することができません。
米国は、同盟国にも同様の処置をとるように呼びかけています。
ユニクロも新疆綿を使用していることが問題視されて、米税関当局が輸入禁止措置違反として輸入を差し止める事態が生じており、サプライチェーンの改革に乗り出していると報じられています。
ユニクロが環境・人権念頭にサプライチェーン改革、生産業者集約へ - Bloomberg
【ユニクロのウイグル問題はどうなった?】中国とアメリカの関係や人権デューデリジェンスの意味を解説!米輸入停止・カゴメの中国撤退の背景を知る | 海外進出ノウハウ | Digima〜出島〜
ユニクロを人道犯罪で捜査 仏検察当局 ウイグル産「新疆綿使用」の告発で - 産経ニュース
現在主要な電気自動車用バッテリーや再生可能エネルギー貯蔵用バッテリーのほぼすべてが中国産で、その中でも新疆が最も大きなシェアを占めています。また、中国のサプライチェーンが複雑で不透明なため、出所を確認するのは難しいと指摘する貿易専門家もいます。
ソーラーパネルは原材料から製品まで、ほとんどが中国製ですが、新疆は中国製ソーラーパネルの原産地です。中国製のソーラーパネルは抜け道としてインド経由で米国に流入しているとの報道もあり、輸入禁止処置も十分に機能しているとは言い難いようです。
中国の太陽電池、インド経由で米国に流入-強制労働防止法の抜け穴か - Bloomberg
参考記事
<世界新聞網>涉「新疆棉」强迫劳动 美再制裁26家中企 扩充规模史上最大