ペンシルベニア州東部地区連邦地方裁判所は10月30日に、米商務省出した、TikTokのアメリカ事業をめぐる全面的な、利用禁止措置を一時差し止める命令を下しました。この命令は11月12日に発効する予定でした。
TikTokは中国のバイトダンスが運営する動画投稿サイトです。正確にはバイトダンスの米国子会社がアメリカのTikTokを運営しています。
アメリカがTikTokを禁止するのは、TikTokアプリを通じてインストールされた端末から、個人情報や機密情報が盗まれたり、逆に端末が窓口となって、ネットに侵入されることを警戒しているからです。
バイトダンス社や中国当局は、TikTokは米国法人が運営するもので、中国側とは関係がなく、サーバーも米国内にあるので、アメリカ政府が心配するようなことは起こらないと主張しています。
しかし実際には2019年12月には個人情報を中国に送信していると、米国学生がTikTok相手に集団訴訟を起こし、2020年8月には「膨大な量の」個人情報やコンテンツを中国のサーバーに送信していたとして、集団訴訟が起こされています。
またTikTokアプリが昨年11月まで、利用者に無断でスマホのMACアドレス(識別番号)を収集していたことを、TikTok社も認めています。
米商務省は9月にTikTokのダウンロードを禁止するように命令を出しましたが、9月18日にアメリカのTikTokクリエイター3名が禁止命令に対して差し止め訴訟を起こしていました。
フランス政府により設立された国際放送メディアのrfiの報道によると、10月30日に米ペンシルベニア州連邦地裁のウェンディ・ビートルストーン判事は、11月12日に発効する予定だった禁止措置を一時差し止める判断を示しました。
ビートルストーン判事は今回の禁止措置が「国際緊急経済権限法」に基づく政府の権限を恐らく超えていると指摘しています。
米商務省は当初9月20日付でTikTokのダウンロードを禁止すると命令を出しましたが、9月27日の米国コロンビア特別区連邦地方裁判所による執行命令を停止する判決が下り、11月12日付でTikTokのダウンロードを禁止すると更新していました。
10月23日には、WeChatの禁止命令が連邦裁判所によって差し止められています。
TikTokもWeChatも中国製アプリですが、若者を中心にアメリカの人々に浸透しているので、禁止するのは無理があるようですね。
WeChatの禁止令差し止めについては、米政府は控訴裁判所に控訴していますので、TikTokも同じように控訴されるでしょう。
当面の間はTikTokもWeChatもダウンロードできます。
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参考資料 *>s
<rfi>美宾州联邦法官裁定暂不准执行TikTok技术交易禁令
http*://bit.ly/35QuwEt