習近平は総書記就任後、腐敗防止の掛け声で政敵を取り締まり、徐々に権力を集中させ、権限を強化し、終身支配にまで拡大する勢いです。しかし、台湾の一部の評論家は、習近平の指導力の信頼性が失われ、中南海での統治ができなくなり、共産党にとっては最悪の事態になるとの見方をしている。
米中関係の緊張が高まり、習近平が慣例を破って終身政権を担おうとしていることから、中国は流動的で危機な状態にあると主張しているのが、台湾の著名な評論家である王臻明氏です。
王臻明氏は、この危機的な時期に中国の官僚機構や地方政府は、しばしば独立して行動しており、お互いに矛盾したことをしていると指摘しています。
習近平の指導力の信憑性がなくなって、結局、中南海での命令ができなくなる可能性がある。
王臻明氏は、共産党体制下では、国家主席と党総書記が名目上の最高指導者であるが、実際には中国共産党中央政治局常務委員会、通称チャイナセブンの手の中で権力が分割されていると主張しています。
中央政治局常務委員会メンバーは現在、習近平国家主席兼総書記、李克強首相、栗戰書全国人民代表大会常務委員会委員長、汪洋中国人民政治協商会議主席のほか、王滬寧、趙樂際、韓正の7人で、職務を担当しています。
チャイナセブンの7人で職務の圧力を共有し、集団的な意思決定を行い、党内の派閥の力のバランスを取り、牽制するように設計されているように見えるが、派閥同士の争い、水面下の意思決定、国の執行権がいくつかに切り離されているのがマイナス点だと王臻明氏は指摘しています。
習近平が権力を握った後、権力闘争でこの “刑は常務委員に上らず(刑不上常委)“の暗黙のルールを破り、2014年12月に政治局常任委員の周永康が投獄されました。
江沢民派の周永康が投獄されたことは、中国共産党の内部闘争の熾烈さを示しています。
習近平が就任以来、腐敗撲滅などの戦術を用い、反体勢力を排除して権力を強化し、表向きは権力をより強固なものにしてきたように見えますが、実は半目し合っています。
一方、中国経済は低迷し、米中関係は破綻し、欧州との関係は悪化しつつあり、洪水の被害、新型コロナ感染症流行、不作、食肉価格の高騰、香港国家安保法施行で米国から制裁を受け、中国社会が習近平の指導力に疑念を抱くようになっています。
中国共産党は創立以来、「権力は銃身から生まれる」と常に主張し、軍部は完全に独立した独自の体制を構築してきました。最も重要な肩書きは中国共産党軍事委員会の委員長で、江沢民が政権末期に政権を退いた後、唯一譲らなかった役職です。
習近平が政権に就いて以来、軍部を掌握するためにあらゆる努力をしてきましたが、それがどれほど効果的なものにるのか、また、内外からの圧力に直面している今、将軍たちがまだ真剣に習近平を見ているのかどうかは分からない、と王臻明氏は述べています。
中国共産党は以前から「中国は法により支配される法治主義」と強調してきていますが、中国が人に支配される社会であることは誰もが知っていることです。
中央レベルから地方の最下層の役人まで、あらゆる階層の役人が個人的な関係に頼り、お互いの利益のために結託し、周永康と薄熙來の関係に見られるように派閥を形成していると言われています。
中央政府の政治局常任委員会は政治闘争お繰り返し、地方の役人は地域保護主義や汚職のために動いています。
地方の役人は富を蓄積するために権力を乱用し、都市が田舎を略奪することを奨励し、都市部に資源を集中させ、大都市は国策に世話になり血を吸う獣となり、小都市は腐敗した役人に支配され、小さな血を吸う虫の特殊な現場となり、中国社会の発展をさらにアンバランスなものにしています。
習近平はこの巨大で陳腐な統治機を効果的にコントロールできるのでしょうか。
習近平総書記と李克強首相との対立は、以前から表面化しています。
習近平総書記が「2020年までに貧困撲滅」を訴えていたのに対して、李克強首相は5月の全人代で「月収1000元以下の貧困者は6億人いる」と発表しました。
11月23日には習近平が「貧困県は無くなった」と宣言したのに、数日後の29日には李克強首相が地方自治体の主張に対して、「真実を話せ」と述べています。
終身国家主席になって権力を固めたい習近平総書記にとっては、買収済みのバイデン候補がアメリカ大統領になりそうな勢いの時に、内部対立が激化するのは望まないことでしょう。
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<希望之声>中国观察:习近平强力集权无效 最后一场灾难来临?
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