中国のウイグル人イスラム教徒に対するジェノサイドをめぐり、米国の政治家や人権団体が、2022年北京冬季オリンピックのボイコットを求める声が高まる中、米国オリンピック・パラリンピック委員会の責任者は、米国議会に宛てた書簡の中で、「アスリートボイコット」反対を伝えました。
アメリカ政府が運営する国際メディアの美國之音の報道から。
米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)の最高経営責任者(CEO)のサラ・ハーシュランド氏は、5月13日に連邦議会に宛てた書簡の中で、中国の人権問題に懸念を示しながらも、ボイコット反対を伝えました。
ハーシュランドCEOは書簡で、北京冬季オリンピック・パラリンピックのアスリートボイコットは、地政学的な問題の解決にはならないと述べ、最近の世論調査で約3分の2のアメリカ人が北京冬季大会のボイコットに反対していると指摘しました。
トランプ政権の退任間際にポンペオ国務長官が、中国がウイグル人に対するジェノサイドや人道に対する罪を犯したと認定したことを受けて、共和党議員の一部が2022年の北京冬季オリンピックをボイコットする呼びかけを行いました。
バイデン政権は、トランプ政権が行ったジェノサイド判定を支持し、新疆で宗教的少数派を迫害し、人権を侵害した中国共産党幹部や団体に制裁を科しました。
ハーシュランドCEOは書簡で、米国が1980年のモスクワオリンピックをボイコットしたことを例に挙げ、461名の米国人アスリートが出場機会を奪われたのに、外交の利益はもたらされなかったと指摘しています。
さらにハーシュランドCEOは書簡で、世界中で新型コロナが流行して1年以上が経過したこのオリンピックほど、スポーツ界で重要な時期はないだろうと述べています。
同時に、この大会はアメリカの優れた点を紹介する機会であり、「重要な人権問題への認識を高める」ことにも貢献していると述べています。
米国議員の中には、「中国共産党に冬季オリンピック開催という栄誉と利益を与え、継続的な隠蔽と継続的なプロパガンダのための国際的なプラットフォームを提供することに、どんな意味があるのか」とボイコットを求める意見もあります。
一方で、米国は「アスリートボイコット」を行う必要はなく、「外交的ボイコット」や「経済的ボイコット」など、他の形態のボイコットを採用できると言う政治家や活動家もいます。
彼らは、政府関係者には北京冬季オリンピックに協力しないよう外交的ボイコットを呼びかけ、米国企業には北京冬季オリンピックのスポンサー契約をしないように、経済的ボイコットを働きかけています。
ブリンケン米国務長官は、今月初めに、米国企業が北京冬季オリンピックのスポンサーになるべきかどうかを尋ねられ、「米国は同盟国やパートナーと話し合って意見を求めている」と答えています。
この件は日本でもいくつかのメディアで報じられていますが、『米国オリンピック委員会が北京オリンピックのボイコットに反対』と報じているだけで、経済的ボイコットや外欧的ボイコットに触れている記事はありませんでした。
東京オリンピック・パラリンピックを開催するか中止するか議論している日本では、北京冬季オリンピック・パラリンピックのことまで考える余裕はないかもしれませんが、私は東京オリパラは開催すべき、北京冬季オリパラはボイコットすべき、と考えています。
東京オリパラ中止派は、コロナ対策など政府への不満の捌け口として、政府のすすめる五輪に反対しているだけにしか見えません。
少数民族の迫害や大量虐殺を見て見ぬふりをして、北京冬季オリパラに参加しようとするのは、そこまで中国政府に忖度して、その影には何があるのだろうと思ってしまいます。
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参考記事
<美国之音>美奥委会负责人致函国会:不要让运动员抵制北京冬奥会
http*://bit.ly/3tLr08h