米国務省報道官が13日、「一部の国が救命医療支援を自らの狭い政治的思惑のために利用している」と非難しましたが、これをメディアは中国への言及と解釈しています。中国外交部の華春瑩報道官は14日、「米国は人権問題だけでなく、ワクチンについても君子面をして収まり返っている」と反論しました。
米国務省報道官の発言は、中国のワクチン外交を非難していると受け止められています。
中国外交部の華春瑩報道官は、14日に主催した記者会見で、貴社の質問に答えて、米国務省報道官の発言に反論しました。
以下は中華人民共和国外交部のWebページより抜粋。
「アメリカ側は人権問題だけでなく、ワクチンの問題でもモラルを重視しているようだが、どの国に何本のワクチンを渡したのか発表してもらえませんか? 」
「世界人口の4%に当たる3億3,000万人の人口を抱える米国は、世界全体の4分の1に当たる約26億回分のワクチンを買い占めています。」
「世界中の国々が必要なワクチンを手に入れようと模索している中で、米国の倉庫には何億本ものワクチンが使われずに眠っています。」
「米政府関係者は、ワクチンの流通において「アメリカ・ファースト」を堅持し、ワクチンの輸出を制限すべきだと強調し続けている。」
「ここで思い出すのは、唐代の杜甫の詩『朱門酒肉臭,路有冻死骨』だ。」
(説明:『朱門酒肉臭,路有冻死骨』は、「貴族たちの家には酒や肉の香りがするのに、路上には凍死者の骨が転がっている。」の意味。朱門は王侯貴族の邸宅のことで、華春瑩は朱門をアメリカに例えています。 意訳すれば「アメリカにはワクチンの匂いが漂っているが、一歩国外に出れば新型コロナの犠牲者が転がっている」)
華春瑩は続けて、「防疫やワクチンの問題で、米国は内部的には対応できず、外部的には責任を転嫁してきた。アメリカはジェスチャーだけで何のアクションも起こしていないが、すでに「救世主」のように振る舞っています。 」
「それに対して、中国は、ワクチンを世界の公共財とすることを最初に提案し、積極的に実践した国です。」
「自国の巨大な人口と厳しいワクチン供給に直面しても、中国はこれまでに世界の160以上の国や国際機関に防疫物資を援助し、100以上の国や国際機関に必要なワクチンをさまざまな形で提供しています。」
「最近では、シノファームのワクチンがWHOから緊急用として承認され、COVAXへのワクチン供給を積極的に進めています。」
最後に華春瑩は、「 私たちは、米国がワクチンの政治的操作をやめ、流行病と闘うための国際協力を助け、支援することを願っています。」
中国がワクチン外交と称して発展途上国にワクチンを供与しているのは事実ですが、最初の10~15万回分を無償で送った後は高額で売りつけているとの噂も絶えません。
米国国務省が指摘しているのはこのことなのですが、華春瑩報道官の言葉を、素直に聞く人はいないでしょう。
[あわせて読みたい記事]
参考記事
<中華人民共和国外交部Web>2021年5月14日外交部发言人华春莹主持例行记者会
http*://bit.ly/33Q0gJn